就活生は引き続きがんばれ!
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※文科省HPより


思ったより下落してないようですね。不安を煽るのだけがお仕事のマスコミは大騒ぎしてますが、ここ数年はスーパー売り手市場だったため、少し調整が入った感じでしょうか。
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時事通信は「10年ぶり悪化」という見出し。何が10年ぶりかな、と思ったら、上の図の通り平成23年以降就職率が右肩上がりだったのが初めて傾いたから「10年ぶり」という言葉を使った模様。
いやいやwwそりゃ100%が上限なんだからいつかは傾くでしょう。就職率130%ととかありえませんよ。


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産経は割と冷静な分析。逆に高校生の内定率上昇を報じた。

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TBSが一番ひどい。「リーマンショックに次ぐ落ち込み」とタイトルにあるから、「そんなにヤバイのか」と思うでしょう。
でもよく読むと「(今年は)去年の同じ時期に比べ2.8ポイント低くなっていて、リーマンショック直後の2010年の6.3ポイントに次ぐ過去2番目の下げ幅です。

おいおい!

2.8ポイントの下げと6.3ポイントの下げは大きな違いがありすぎるだろう。言うならば、「リーマンショック時は6.3ポイントも下げたが、今回は2.8ポイントに留まった」だろう。何が「リーマンショックに次ぐ悪化」だ。


このように、マスコミはあの手この手で数字を操作し不安を煽る。
来年度以降就活する皆さんは、こういった報道は一切見ず、文科省の発表だけ見てれば良いです。まだまだ就職率はリーマンショックの時と比べたらマシですからね。

大して難しくありません

大学を結婚相手だと見立てましょう。結婚相手を探す場合、どこを見ますか。そう、年収でしょう。だけど、個人と違って組織がやっかいなのは、年によって年収が大幅に上下しちゃうことですよね。じゃあ、どこを見るか。そう、貯金額です。

この人(大学)、お金どのくらい貯め込んでるんだろう・・・。パートナー探しにおいて当然考えることですよね。
大学において貯金(運用資産)は「特定資産」「現預金」「有価証券」です。それらは、「貸借対照表」で確認できます。
ここで見ていく大学はモテモテの早稲田大学さん。引く手あまたです。
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特定資産というのは建物の更新や奨学金等、将来の各種支出に備えて積み立てておくものです。大抵、運用にまわして現預金ではなく債権等で運用しています。
ここで「あ、早稲田大学さんは540億円も将来に備えて積み立てているんだな、素敵」となるわけです。
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「有価証券」と「現預金」はどうか。ここで1,100億円近くあるので、それはもう相当なお金持ちだということがわかりますね。

いや、でもお金持ちに見せているだけで実は借金いっぱいあるのでは?!
ということで、貸借対照表における負債の部、下を見てみましょう。
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長期借入と短期借入は合計60億円程度。運用資産の額から考えれば、大したことないですよね。

では、貯金は潤沢でも「今」は稼げているのか。過去の財産を元手に無双しているだけで、今は全然じゃないの?
ということでその人の年収を見るために、「事業活動収支計算書」を見てみましょう。

事業活動収支計算書は教育活動収支(本業)、教育活動外収支(本業外投資活動等)、特別収支(建物売却等)の3つに分かれているので、まず本業でちゃんと稼げているか見ましょう。
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教育活動収支(本業)の下に収支差額が記載されているので、なるほど早稲田さんは30億円近く儲けているんだ!素敵!となるわけです。
ちなみに30億円という数字がピンと来ないかもしれませんが、それは全国平均と比べたり、私がいつも公開している「〇〇率」といった形で比率に変換して実態を把握するのも手ですね。

早稲田さんは本業のみならず、副業も熱心です。
教育活動外収支(本業外投資活動等)も見てみましょう。副業みたいなもんです。
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副業ではなんと60億円近くの黒字!中身を見ると、受取利息・配当益収入ですね。投資という副業で本業を上回る、まさに現代っぽい勝ち組さんですね。
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最終的な収支は下の方にある「基本金組入前当年度収支差額」を見ます。結果、早稲田さんは93億円もの黒字だったというわけですね。お金持ち!

このように相手の懐を探るように財務分析をやれば結構楽しいです。実際はもっと色々と見ることになりますが、これでザックリはわかるんじゃないでしょうか。

借金こさえないといけない業でも背負っているのか?

なんとなく各大学の財務諸表を見ていたら発見。聖マリアンナ医科大学。
1960年設立と後発の大学で、神奈川県に所在する私立医科大学だ。
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運用資産と借入金を眺めていたら、2019年度に大型の借り入れを行っている。
運用資産も大してないのに、よくこんな借入やるな・・・という感じだが。銀行からしたらいいお客なのだろう。収入は堅いし、公益性のある法人でもある。

どうやら創立50周年事業で2022年、24年、26年にそれぞれ新病棟等の新設計画があるそうだ。そりゃお金がかかる。



どでかい構想だ。こりゃ儲かっているところしか成しえないキャンパスですね。それでは資金収支を見てみよう。
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こちらは資金収支だ。毎年数十億程度の黒字が達成できており、上記設備投資を行った2019年のみ大きな資金収支赤字を出している。
同大学は赤字の要因について、事業報告書で下記のように記載している。

「(赤字の)要因としては、患者数減少や平均単価下落により医療収入が伸び悩む一方、リニューアル計画上の必要経費や直接材料費の増加のほかに、入試実態調査に係る第三者委員会関連経費、適時調査返還金、保有株式評価損の計上等の特殊要因が大きく影響しました。」

それ、あなたの感想ですよね?(AA略)
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上記のように医療収入は右肩上がりだ。原因としては1つ、校舎建て替えのための医療経費支出増加と施設設備支出の増加だ。
まあ、この大学のように稼ぐ力があれば、何年もかけて返せるのでしょうけど・・・。なんで医科大学って十分貯蓄しようという概念がないんですかね?積極投資は確かに評価されるべきですが、こと学校法人においては一概にそういえません。
医者のみなさん、こんなにポンポン病棟建てるのって絶対必要なのでしょうか(そりゃあるに越したことはないだろうけど)。




まあ日本医科大学なんて500億円も借入金あるから大丈夫か!
大いに借金して大いに設備投資して大いに稼ぐ、それが医科大学のやり方じゃい!

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