大学部門が重荷

恵泉女学園大学が2023年3月23日、大学部門の学生募集停止を発表した。


関係者の間では歴史ある学園の募集停止に驚きの声が多くあがっている。だが、この問題は中堅未満の大学には皆起こりうる現象である。とりわけ、中堅未満大学の定員割れによる財務面のダメージは大きい。恵泉はどうだったのか。財務面を見ていく。
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まずは収支。教育活動収支(本業収支)と経常収支(利息等+本業収支)は7年連続赤字。2016年~2018年度が特にキツい。一体、何があったのか。
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こちらは学園全体の学納金推移と、大学の入学定員充足率推移。
2014年度より定員割れが始まり、2016年度には充足率5割割れ
その後、徐々に持ち直したが2021年度より
再び定員割れ。全盛期は25億円もの学納金収入があったが、今や20億円程と2割も減少。今後回復する見込みも、まあないだろう。
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これら収支赤字の主な要因は大学部門である。大学部門(オレンジ)は毎年経常収支差額比率で大幅な赤字を出している一方、中高部門(グレー)は安定して黒字。結果、全体としてちょっとした赤字となっている。この負債部門を適切に整理することで、学園全体の収支の立て直しを図れる。
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BS上でもそれほど大きな変化は見られず、むしろ借入金が減り運用資産も増えている。

大学部門の募集を停止し、徐々に教員等の人員整理を進めることで、長期的な収支は安定する見込みだ。
今後、こういった大学はドンドン増えていくと思う。簡単にいうと、大学を運営するハードルが上がっているのだ。当たり前である。上位大学は定員を増やしていき、大学の数も増えている一方、18歳人口は減少しているのだから。
大学部門を閉じて中高で法人として生き残りをかける学校法人は今後も増えていくだろう。そういう意味では、恵泉はかなり早い時期に決断を行った。

最後に、私は恵泉という大学をほとんど知らないが、財務情報は部門別に丁寧に、かつ経年で一目でわかるよう、適切に表示されている。また、各種比率も細かく公開しており、こういった法人の姿勢には、大いに敬意を表したい。

弱小ブログなら著作権フリーや!
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無断転載者はまちづくり専門家の木下斉氏。社団法人の代表理事もやっているようだ。
言うまでもなくこの画像は過去のワイのブログで集計したものの画像である。
抗議のレスポンスをしようとしたがツイートはレス不可設定。メールも不可。こういう設定の人って、地雷のイメージがある。



無断転載の被害は約1年ぶり2回目。


弱小ブログから引っ張ればバレないと思ったのだろうか?
いつも思うのですが、出典元が不明または匿名の情報を精査せず、しかもあたかも独自情報のように発信するのって、マジで頭狂ってると思うんですよね。



こういった無断転載で一番嫌なのが、情報が間違った方向で発信されること。言うまでもなく無断転載者はその集計をしていないので、数字の意味をリアルに理解しておらず、また自分の都合の良いように解釈して発信する。それが何よりも嫌なのだ。

一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス 代表理事の木下斉さん、弁明待ってまーす!!

もっと酷くなる

ルポルタージュは好きなので、滅多に本は買わないが、久しぶりに購入した。
国公私立大学で起きている労働問題、ハラスメント問題、ガバナンス問題等々にスポットライトを当て取材している。多くの大学にとって、程度の問題はあれ似たような事象は起きていると思う。それは、相手方が教員というある種の個人事業主と、理事長・学長という特異な存在での関係で起きることなので、普通の感覚とは少し違うのかもしれない。

文章中で気になったのは、「私立学校法が改正されたから」「独立行政法人化したから」こうなったという、やや強引な結論付けが目立った。その改正によってどのような事象が起きて、その結果どうなったかを十分に検証する必要がある。何が正しくて何が正しくないのかが全く見えてこない。これでは政権批判のための強引な結論付けのような印象を受けてしまう。

とはいえ、全体的には読みごたえのある内容だった。特に私立大学は面白い。
なんせ国公立と違ってお先真っ暗だからだ。ただ、本著で取り上げられているのは腐ったミカンでお馴染み追手門大学や山梨学院大学等、まあ割と聞いたことあるところが多い。
本当に悲惨の大学は、このほかにいっぱいある。それこそ、このブログで取り上げたような定員割れ貧困大学だ。こういうところはもう本当にどうしようもない。こういった大学が迎える末路は、注意深く検証する必要がある。そう、このブログで。




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