うおおおお借りたものを返さずチャラにできるらしいぞ!!今のうち借りとけ!!

令和新選組という政党が公約に「奨学金チャラ」を掲げているらしい。

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まず検証前にツッコミ入れるが、「
コロナ危機で、短大生・大学生が退学に追い込まれている。」とあるが、奨学金は在学中返済義務がない。おまけに利子もつかない。

現在いくら奨学金の債権残高があるのか。日本学生支援機構の貸借対照表をみてみる。


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第一種が2兆8767億円、第二種が6兆5,926億円だ。貸し倒れ引当金分を差し引くと、9兆4,000億円ものお金を現在貸し付けていることになる。

仮にこの状態で、2022年4月、突如徳政令により奨学金が全てチャラになったとしよう。
この場合、日本学生支援機構の財務はどうなるか。2020年度決算に当てはめ、シミュレーションしていく。まずはキャッシュフロー上どうなるか。

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まず、支出面だが徳政令が現在返済中の人のみとするので、支出の大きな割合を占める学資貸与金支出は例年通りかかるとする。
細目は不明だが、おそらくこれらに貸与回収にかかる費用もあり、チャラになった場合これらの業務がなくなるため幾ばくか安上がりになるだろうが、ここは単純化のため例年通りとする。
収入面では学資貸与金の返済収入が無くり、第二種の利息収入、延滞金収入も無くなる(そもそも借り手がいないので)。現在返済中の人はチャラになり、現役大学生には貸与している状態(在学中は利子が免除される)のため、こういった収入が無くなる。
これだけで、約▲9,164億円の収入減となる。

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その他投資活動CF、財務活動CFは例年通りとする。
結果、約▲8,327億円ものキャッシュフロー上の赤字となる。
現預金は3,100億円程しかないから、当然資金不足に陥る。

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以前ブログで紹介したが、日本学生支援機構は3,000億もの現預金と200億円程度の有価証券を持っている。

現在返済中からの人の収入がないと、これに近い赤字が毎期出ることが予想される。そう考えると、やはりこの9兆円の貸与債権、本当に徳政令を出すとするのであれば、丸々政府が保証することになるだろう。
9兆円がどのくらいの額かというと。国の1年間の収入が約100兆円で、うち公債が43兆円だ。この公債が2割程増えるイメージだ。
いきなり9兆円支出する必要はないだろうから、毎年1兆円、政府が日本学生支援機構に9年間補填し続け、この間に支援機構に支出を減らし収支の均衡を保ってもらう。

このザル試算、どうでしょう?!