来年の1月からしれっと重要な制度が始まります。

は?そんなの個人事業主とか青色申告者とかそういう人ら向けでしょ。学校法人は関係ナイナイ。
それ、大きな間違いです。
あなたの学校も、対象かもしれませんよ!なぜならこれは、原則全事業者対象なので。

それでは国税庁のサイトから、今までの電子帳簿保存法の制度がどういうものだったのか。概要を見てみましょう↓。

  • (1) 国税関係帳簿書類の保存義務者(以下「保存義務者」といいます。)は、国税関係帳簿の全部又は一部について、自己が最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する場合であって、納税地等の所轄税務署長等(以下原則として「税務署長等」といいます。)の承認を受けたときは、記録の真実性及び可視性等の確保に必要となる所定の要件(以下「所定の要件」といいます。)の下で、その電磁的記録の備付け及び保存をもってその帳簿の備付け及び保存に代えることができることとされています(電子帳簿保存法41)。
  • (2) 保存義務者は、国税関係書類の全部又は一部について、自己が一貫して電子計算機を使用して作成する場合であって、税務署長等の承認を受けたときは、所定の要件の下で、その電磁的記録の保存をもってその書類の保存に代えることができることとされています(電子帳簿保存法42)。
    • (注1) 「保存義務者」とは、国税に関する法律の規定により国税関係帳簿書類の保存をしなければならないこととされている者をいいます(電子帳簿保存法2四)。
    • (注2) 「電磁的記録」とは、電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいいます(電子帳簿保存法2三)。具体的には、ハードディスク、コンパクトディスク、DVD、磁気テープ等の記録媒体上に、情報として使用し得るものとして、情報が記録・保存された状態にあるものをいいます。

ね?簡単でしょう?

全てを説明していたらキリがないので、今回の改正でどうなったか、下のパンフレットが一番分かり易いと思います。今回はサラっと説明だけです。
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021005-038.pdf
211127-1
まず、「電磁的記録による保存」とはどういったものなのか。以下の3つに分かれる。

①電子帳簿等保存(電子的に作成した帳簿・書類をデータのまま保存)
②スキャナ保存(紙で受領・作成した書類を画像データで保存)
③電子取引(電子的に授受した取引情報をデータで保存)

①②については、電子的に作成した国税関係帳簿(元帳とか決算書、それに付随する書類)の電子保存や受け取った見積書等をスキャナ保存したものについて、税務署長の事前承認が必要だったのですが、今回の改正で不要になりました。まあ学校法人でこれらが電子保存のみ、というところはほぼないんじゃないですかね。
電子保存するには「タイムスタンプ」、もしくはそれに類するシステムを使用しないといけないんですよね。まあ無理ですよね。



一番重要なのは③電子取引です。
教員の皆さん、楽だからよくAmazonや楽天で経費購入することがあるでしょう。あれを毎回出力して証票書類とする流れ、面倒くさいでしょう。
でも、今回の改正で


「「電子取引」でやり取りされた取引情報(以下に類するもの)は、オリジナルの電子データでの保存が義務付けられることとなりました。」
211127-2
これらのものについて「紙の保存廃止、電子データ保存が原則」となるのですが、これじゃあネットでデータでしか請求書や領収書を発行しないAmazonや楽天は「紙出力保存」ではなく「電子データのまま保存」しなくちゃいけなくなりますよね。

「やった!これでデータで保管しとくだけでええんや!楽やん!」

とはならない。

学校法人にとって、今回の改正の重要点はここだ。
申告所得税及び法人税における電子取引の取引情報に係る電磁的記録について、その電磁的記録の出力書面等の保存をもってその電磁的記録の保存に代えることができる措置は、廃止さ れました。」
※消費税法上は紙保存OK

学校法人は所得税や法人税は非課税ですよね(例外あり)。消費税法も今回の制度が適用されたら、全ての取引で電子保存が必要となりますが、所得税法上と法人税法上のみに適用されます。よって、学校法人は基本的にこれらの取引以外が大部分を占めるので、影響は少ないかと思われます。
ただし、学校法人はもちろん収益事業を行っていますよね。これは日本大学のように株式会社化して完全に切り離しているところもあれば、学校法人内に収益事業組織を作って運営を行っているところがあると思います。まあ大抵の所は会計を切り離しているので、そこは大丈夫なんじゃないかなと。
だから学校法人勤務の方で、収益部門かつ会計部門にお勤めの方は、電子取引に該当するものがあるかどうか留意する必要があります。


今回の改正、違反すると青色申告取り消し(このペナルティも実際あるかどうかは不明)など、どちらかというと零細事業者向けな気がしますが、中小大企業も例外なく今回の法改正が適用されます。
今回、たまたま学校法人は逃げ道がありましたが、消費税法上も今回の法律が適用されることも今後普通にあり得ると思うので、いずれにせよペーパレス化は進めておいた方が良いかと。
まあ、電子保存は色々とハードルが高くて、簡単に電子保存、とはいけないんですよね。


疑問点は大抵Q&Aに書いてますので、それ参照するのが良いかなと。
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021006-031_03.pdf


一番気になるのは今回の改正で文科省から何か通知ありました?ないですよね。なんででしょう。

当たり前ですが今回の対応、どうするかは学校法人によって変わってくると思います(所得税・法人税の逃げ道も正しいかは不明)。私は実務をやっているわけではないので、最終的にどうするかは自己責任で!

電子帳簿保存法関連の本はたくさん出ていますので、ぜひこのアフィリンクから!!





役立つリンク

電子帳簿保存法が改正されました
電子帳簿保存法Q&A(一問一答)
2022年1月改正!電子帳簿保存法とは? - Freee