2020年12月

約100,000百万円。

兵庫県西宮市にある、武庫川女子大学が持っている運用資産の額だ。なんとこの大学、特定資産だけで90,000百万円もの積立をしている金持ち大学なのだ。同じく女子大学の津田塾大学が6,000百万円、東京女子大学が13,000百万円、日本女子大学が8,000百万円と比べると、頭一つ抜けていることがわかる。

そんな大学、11月にこのようなニュースが流れた。


おいおい女子大学のクセに思い切った投資するねえ。見栄張っちゃって大丈夫か?と思い財務書類を見てみたらビックリ。とんでもなくお金を貯めこんでいた。
それでは同大学の財務書類を見ていこう。

先ほど見たように特定資産89,178百万円、現預金8,434百万円、借入金0の綺麗で良好な貸借対照表だ。
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では、単年度の収支はどうなのか。教育活動収支(本業の収支)と経常収支(教育活動外収支も含めたもの)の経年変化をみていく
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教育活動収支は赤字を出しているが経常収支(教育外収支も入れたもの)では黒字になっている。どういうことか。中身を見ると「受取利息・配当益」で大きな収入を計上している。これほどの特定資産があるのだから、おそらく運用に大きくまわしているのだろう。配当益は毎年1,200百万円程度計上しているので、教育活動収支での赤字をうまく吸収している形だ。

教育活動収支と受取利息・配当益収入の経年変化は以下の通り。
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エリザベト音楽大学のように、本業では儲からないから本業外できっちり収支の均衡を保つスタイル。
ちなみに以前紹介した早稲田大学の受取利息・配当益収入は約5,000百万円、慶応は3,000百万円程なので、地方の女子大学でこれほどの収益を出していることの凄さがわかる。





もともと女子大学は時代に取り残され、経営が厳しくなって共学化を行うところが増えていた。それでも同大学は女子大学として独立し、地方で頑張っている。
これだけ儲かっていたら、そらPCRセンターの1つや2つ余裕で作れるわけだ。

一方で、大学を見ていて少し思ったのだが・・・確かに貯蓄はあるし財務は良好である。でも、これだけ貯め込む必要ってある?と、少し思ってしまった。
同大学は偏差値が35~50程度である。女子大学はどこも相対的な地位が低下しているため、これは仕方ないのだろうが、もう少しうまく教育への投資ができたのでは、とも思う。
偏差値はお金で買えないが、それらを上げるための投資は何かしらもっとできたのではと。お茶の水女子大や東京女子大学が、往年に比べ落ちているとはいえ偏差値を高水準で保てているのは、きちんとそれらに投資してきた結果でもあるのかなとも感じる(偏差値等は財務的な見方のみで完結するものではないが)。
武庫川女子大学は10学部も擁するメガ女子大学である一方、一部学部で定員割れを起こしている。音楽学部が一番低く、90.0%だ。将来これらの学部が足を引っ張り、著しく財務に悪影響を及ぼす可能性は高い。
先ほど見てきたように、教育活動収支は2018・2019年と赤字を出してしまっている。いくら経常収支が黒字とはいえ、本業である教育活動収支で黒字を出すことが望ましいことは言うまでもない。
やはり何事もバランスだなと、同大学を調べて感じたのであった。




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音楽単科大学で頑張っている全国12大学。その財務健全性を測るため、4つの指標で5段階評価・点数化を行いランク付けをした。
ていく指標は①「運用資産余裕比率」②「経常収支差額比率(3か年)」③「固定負債構成比率」④「学部収容定員充足率(3か年)」の4つだ。
本当はもっと指標を加えたいところだが、非公表な数値があったりするのでこの4つで測っていく。最後に、この4指標の点数を集計し、ABCDEでランク付けを行った。
各指標の数値は客観的なものであるが、ランク付けは主観が入っているのはご了承いただきたい。各評価の説明は以下のとおり。

A:極めて良好な状態
B:良好な状態
C:平均並み
D:不良な状態
E:極めて不良な状態

良好や不良といった評価は、芸術系学部・音楽学部という視点から、私学事業団が発行している財務データ「今日の私学財政」の全国平(2018年度決算)を参考につけていった。




運用資産余裕比率

運用資産余裕比率は運用資産(現預金・特定資産等)から外部負債(借入金等)を差し引いた金額が、経常支出の何倍かを示す指標。要するに、経常的な支出(教育活動支出と活動外支出)に見合った貯蓄を行い過度な借金をしていないかを見る指標だ。経常支出に対して「何年分の純運用資産があるのか」といった見方だ。
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1位は堂々のエリザベト音楽大学。唯一の2ケタ台で、突出している。エリザベト音楽大学は事業規模が小さい(経常収入が少ない)割に、しっかりと積立ができており無借金経営のため、他の大学を大きく引き離した。身の丈にあった支出をしている一方できちんと貯蓄もしているというわけだ。
逆に平成音楽大学は同じく事業規模の小さい大学であるが毎年経常収支は赤字。収容定員充足率の低さもそうであるが、それ以外の収支も赤字続きのうえ積立も不足しているためこの結果に。新校舎建て替えにあたり借入したのも財務にネガティブな影響を与えた。
意外だったのが東京音楽大学。運用資産が少ないということもあるが、それに加え11,000百万円もの借入金が尾を引いている。どうやら2015年から設備投資に伴う大型の借り入れを行っているようだ。

経常収支差額比率(3か年)

経常収支差額比率は経常的な収支(資産売却など臨時的な要素を除いたもの)に着目した指標だ。プラスが大きいほど収支の安定を示し、マイナスが出ている場合、学校経営の根幹である経常的な収支で資金流出が起きている可能性がある。
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1位はまたもやエリザベト音楽大学。実はこの大学、教育活動収支は赤字が続いているのだが、特定資産で運用していると思われる配当益で、教育外収入として大きく稼いで経常収支を黒字にさせている。
経常収支が赤字のところが多いことからわかるように、音楽の単科大学で教育活動収支の黒字を出すのは困難なことなのだ(経常収支のほとんどは教育活動収支で決まる)。逆に言うと、名古屋音大、洗足音大、桐朋学園は教育活動収支のみで黒字を出しているため、本当の意味で本業の力が強い大学と言える。
最下位は東邦音楽大学。先にみたように積み立てはそこそこできているが、いかんせん経常収支で赤字を出しまくっている。後述するが、収容定員を6割切っているのが痛い。

固定負債構成比率

固定負債構成比率は固定負債の「総負債及び純資産の合計額」に占める構成割合で、主に長期的な債務の状況を評価するものだ。想定される固定負債として長期借入金と退職給与引当金が想定される。ここでは特に長期借入金に着目する。
借入の多さは直ちにネガティブな影響を及ぼさないが、こと音楽大学に関しては今後の市場・事業規模縮小が予想されるため、設備投資などの借り入れは今やるべきことではないと考えている。①の指標も借入が大きく影響を与えるため、大きく借入をしている東京音楽大学は不利となるが、あえてこの指標を入れた。
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1位は洗足学園音楽大学。先にみたように貯蓄も経常収支も安定しており、そもそも借入などする必要もない。
この指標はどの大学も安定して全国平均以下であったが、問題は東京音楽大学。創立111周年記念というなんとも中途半端な周年事業の際に、「中目黒・代官山キャンパス」を設立。



確かにすんげえキャンパスだ。この設備投資が吉と出るか凶と出るか。というか、経常収支は安定してないし貯蓄も少ないんだし、施設設備投資は控えるべきだと思うけどね。
本当はE評価としたいところだが、借入の内容が教育施設に対するもの、充足率を十分に満たし積極投資であることを加味しD評価に。

学部収容定員充足率(3か年)

最近どの大学も苦労している学部収容定員充足率。少子化の今、事業規模のレベルは適切にするべきだ。収容定員は事務的な手続きで下げることができても、人件費や施設設備は簡単にカットできない。カットするには大変な労力と時間がかかるのだ。それらを踏まえ、定員充足ができていない場合は、財務が安定している間にゆるやかに適正水準にしておく必要がある。財務がひっ迫している状態で急いで行っても、時すでに遅しなのだ。
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充足率第1位は堂々の東京音楽大学、学生数も1,383名となっている。これほど安定的に充足できているからこそ、積極的な借入と設備投資、という発想になるのだろう。これからどうなるかわからないが。
最下位は大学部門を閉じる予定の上野学園大学。下から2番目の平成音楽大学は立地が熊本ということもあり、今後も厳しい数値が予想される。新校舎設立で起死回生を狙ったが、泣かず飛ばす。収容定員400名に対し、なんと在学者205名という状態。ちなみに音楽大学と称しながらコッソリ子ども学科もある。こちらは充足率6割なのだが、肝心の音楽学科で42%と低調なのだ。


まとめ(総合ランキング)

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総合1位は洗足学園音楽大学。正直この大学、集計を始めるまで読み方がわからなかった。「せんぞく」と読むらしい。キリストの言葉「足洗えばなんちゃらかんちゃら」みたいなものから命名したようだ。充足率も貯蓄も経常収支も全てにおいて良好な状況であった。一つ注文するとすれば、これからも貯蓄を十分に行い死角の無いようにしたほうが良い。
2位のエリザベト音楽大学は洗足学園よりも尖った財務の好調さを見せたが充足率に問題あり。このまま充足しない状態で教育活動で赤字を出しながら教育外で収支を保つか、迷いどころ。いずれにせよ、十分な貯蓄があるため考える期間はいっぱいある。
逆に音楽オンチの僕でも良く聞く国立音楽大学・武蔵野音楽大学・昭和音楽大学は平均並みであった。いずれも貯蓄はそこそこできているのだが、いかんせん経常収支が安定せず。特に武蔵野音楽大学と国立音楽大学は定員を充足するのが専らの課題となる。
意外だったのが東京音楽大学。積極的な借入・設備投資が財務状況を悪化させている。定員を充足させているため投資は効果的と言えるが、経常収支で赤字を出し続けているので少しやりすぎ感。今後は収支の均衡を保ちながら貯蓄を行う必要がある(借金も返さないといけない)。点数は他のD評価大学より下だが、充足率を見るとかなり救いようがある。
落第生は上野学園大学と平成音楽大学。どちらもヤバイ大学として既に取り上げたため、結果は推して知るべし。特に平成音楽大学は全体的に問題を抱え、熊本という所在地がとどめを刺している。




概して、どの大学も全国平均と比べると苦戦しているようだ。特に、経常収支が赤字続きで定員を充足していないところが辛い。今後は音楽大学の定員・事業規模の縮小は必至だ。 集計していて感じたが、安定的な教育を行うには健全な財務が必要だということだ。エリザベト音楽大学は、定員も充足していないし教育活動収支も赤字だが、貯蓄をしっかり行い教育外で稼ぎ全体として健全な財務体制となっている。
逆に両方ともダメなところは、無理な資産売却や定員縮小・人件費削減を行い、それらが教育活動にも支障を来してしまっている。 それほど、財務と教育というのは密接に関係しているのだ。
今までは放っておいても学生が集まっていた時代であったから意識されなかった財務。これからの時代は、より重点的に見定める必要がある。なぜなら、潰れる大学はサービスの質が悪くて潰れているわけではない。財務が悪化し結果として潰れるのだ。大学が閉学に追い込まれ損を被るのは学生であり教職員だ。これ以上不幸な大学が1つでも減るように、厳しくチェックしていく。

こんな感じで進めた今回のランキング企画。各大学の財務資料PDFをひたすらコピペしていって計算したので、非常に疲れた・・・。
次はどこのカテゴリでランク付けしようかな。


このコロナ禍で、ただでさえ忙しい医療従事者の皆さんに感謝しつつ、この執筆を考えた。
大変な時に雇い主がどう扱ってくれるか、厳しく見たほうがいいよという話。

何かと話題の東京女子医科大学、ま~た世間を騒がしちゃいました。


※組合だより11/27参照
 

組合だよりによると、年末一時金が一律1.5か月分とのこと。夏季賞与はモメにモメて1か月分。当然昨年度実績を下回ってしまったようだ。



他大学の支給状態は下記のとおり。減額したのは順天堂大学のみだが、同大学は一律分のみカットで、そもそも3.2か月もの支給があるのだ。

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※組合だより11/27より抜粋
 
東京女子医科大学だけ異常に低いな。
医療従事者からすればそりゃそうだろう。これだけコロナで大変な目にあわされたら、賞与現状維持はあたりまえ、いやアップしてくれなきゃ困るだろう。疲弊した状態でさらにボーナスまで減らされる、そんなの考えただけでもつらい。
そもそもこの大学はボーナスをカットしなければいけないほど、財務状態は悪いのか、財務をみていきたい。

いつもは「教育活動資金収支」でみているが、今回の大学は数年でどうなる、というようなヤバイ大学ではないので、中長期的な視点で非資金科目等も入った事業活動収支上の「教育活動収支」「基本金組入前当年度収支差額」でみていく。
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同大学の特徴として、教育活動も全体の収支もそれなりに安定していることが特徴だ。
2016年の赤字から、それ以降なぜ黒字になれたかというと、人件費が2015年の43,506百万円から、2017年には3,9745百万円に激減しているからだ。何があったかわからないが、とにかく人件費を4,000百万円も削ったのだ。
また、同大学はここ数年、猛烈に施設設備支出と借入を行っている。施設設備支出と借入金残高を見ていく。
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借金は雪だるま式に増えている。
概して、全体の収支は悪くないが施設設備等投資のため黒字幅を圧縮、借入残高が増えこれが財務の赤信号となりつつある。
運用資産について、28,961百万円あるが、借入はもっとある。
積立率は一部数字が不明なため推定値であるが、30%台であろう(個人的には8割程度積んでおけば安心と考えている)。

本業は儲かっているのだから、無理に施設設備投資しなくとも・・・と思うが。いずれにせよ、人件費圧縮によって黒字が達成できていることは確かだ。
財政は良くもないが、それは事業収支上の話であって資金収支上はそれほど圧迫されていない。確かに人件費を抑えたい意図はわかるが、今やることかなとも思う。人件費抑える前に施設設備投資を抑えればいいわけですし。

同大学が学費の値上げを発表したが、これは今の財務状態であれば致し方ないかなと考えている。学生の質・偏差値を下げてでも、キャッシュを潤沢にする必要がある。

学費値上げにより、長期的な財務が悪化するなんて吹聴している医療ライター(?)がいたみたいだが、全くのウソ。詳細は下記記事を。


色々考えたが、同大学の財務は非常に難しい。良い状態と言えないのは確かだが、賞与は確保してあげる余裕はあるというのが個人的な考え。医療収入で潤沢な収入はあるのだし、学納金も間違いなく入ってくる。直ちに財務がどうこうなるような大学ではないので、そこはうまくバランスとって従業員に還元してほしいなというのが結論。
あんまり報酬関連でモメると、悪い噂だけが先行して、それだけで損ですよ。
それにしても借金の額が、日本医科大学に迫りつつある。



まとめ

  • 収支は安定しているが過度な借金と施設設備投資により長期的な財務は赤信号
  • 人件費をめちゃくちゃ削ることにより黒字達成
  • 学費値上げにより今後の財務はより安定的に推移することが見込まれる
  • 良い財務状態とは言えないが、この局面でボーナスをカットするような局面ではない

名古屋柳城女子大学という大学をご存じだろうか。僕は知らない(なかった)。

愛知県名古屋市にあるこども学部のみの大学で、2020年に設置されたばかりだ。もとは短期大学で、4年制に移行した。1953年に短期大学設置以降、細々と活動を続けてきた。ところが2020年に4年制開設の決定が財務に大きな悪影響を与える。詳しく見ていきたい。

言うまでもないが、この大学も定員未充足大学だ。1年目の入学定員70名に対し、入学者数35名と、充足率50%だ。2020年度からの大学なので、今のところ学生は35名しかいない。
また、短期大学の方も充足率7~8割程度であったため、なぜ4年制に移行して成功すると思ったかは不明(短期大学時代の入学定員は130名であった)。

4年制に移行すると、施設設備支出・人件費も上がる。経年変化を見ていこう。
まず、人件費は2016年の527百万円から602百万円に増加。施設設備費支出は79百万円から598百万円に増加。直近3年、500百万円程度の支出がある。


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名古屋柳城女子大学HP「情報公開」より
 https://www.ryujo-u.ac.jp/policy/disclosure.html

それでは収入は増えたのか、見ていく。
学納金収入は2016年の526百万円から2019年の454百万円に減少。大きな収入源である学納金・補助金ともに減少している。


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これら支出増・収入減に伴い運用資金はどうなったかをみていく。
特定資産は2016年の30百万円から2019年に20百万円に減少。現預金は1642百万円から765百万円に激減。

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その一方で負債は増えた。長期借入金は14百万円から234百万円へ。短期借入金も微増している。
確かに、大学の規模拡大のためには施設設備拡充が必要であるが、それはその分定員を充足できての問題。それができていないのであれば、ただ無駄に固定費が重くのしかかるだけである。


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運用資金は特定資産20百万円と有価証券150百万円、現預金756百万円の合計926百万円である。
2019年度決算では▲92百万円ほどの赤字であるから、おおよそ10年は耐えうる貯蓄をもっていることになる。
ただ個人的には、これからも赤字幅は増えていくと予想しているが・・・。

場所は名古屋市でそんなに悪い立地ではないんだけどね。
なんせ世の中には、すごい場所にキャンパスを置く大学があるのだから・・・。



あ…ありのまま 今、起こった事を話すぜ!
この少子化・キャンパス都心回帰の時代に、青森大学という大学が下北半島のむつ市というところに新しいキャンパスを設置するらしい。
な…何を言っているのか、わからねーと思うが、俺もわからねえ。



ちなみにむつ市というのはこの場所にある。



函館からの高速船通学を狙ってのキャンパス設置か・・・?
ちなみに青森大学は青森市にあり、むつ市と近いように見えるが100kmは離れている。
青森大学というとピンとこない方もいるかもしれないが、国立ではなく私立の大学だ。偽装留学生の大量除籍問題、といえばわかる人がいるかもしれない。

地方は過疎化や若者の流出問題を抱えているから、「大学がある」というのは大変なアドバンテージなのだ。そこに学生が集まるかどうかは関係ない、「大学がある」というのは本当に大きいのだ。
だから、設置してくれた大学に補助金を出す。設置する大学側も旨みがある。稚内北星学園大学はいい例だろう。ちなみに稚内北西大学大学は瀕死状態だが。



さてこの大学、新しいキャンパスを設置する体力はあるのか、財務をみていきたい。
特定資産は0、現預金960百万円、有価証券9百万円と、運用資産969百万円で若干不安。

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※青森山田学園「財務情報」より  https://aomori-yamada.jp/hp/wp-content/uploads/2020/06/2020%E8%A8%88%E7%AE%97%E6%9B%B8%E9%A1%9E.pdf

それより、がっつりと借入をしている。2020年3月末時点で3000百万円もの借入をしており、借入金利息支出を50百万円計上している。


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ここがほかのヤバイ大学より救いがあるのが、毎年教育活動収支・基本金組入前当年度収支差額で黒字を出しているところであろう。大学・専門学校・高等学校・中学校を一校ずつ、幼稚園を3つ擁している。
さすがに青森で私立の中高に行く人は少ないのか、中高部門では赤字を出しているが、その赤字分を吸い上げるように大学部門で黒字を出している。大学の収容定員は95%ほどで定員割れしているが、人件費等支出を低く抑えられているため、黒字を維持。
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概していうと、貯金は少ないけど定員割れしながらなんとか黒字出しているから、ぼちぼち借金返していかないといけないな、という局面だ。

その状態にありながらむつ市に新しいキャンパス建設。僕ならやらない。大学部門の起死回生を狙ってか、それを下北半島のむつ市で果たせるかは甚だ疑問だ。
ちなみにむつ市の最新の統計によると、18歳人口は544名であった。



また、記事によるとキャンパスは
下北文化会館を活用、学生は1学年20人ほど。文化会館で高等教育とは、オツですね!
ブログがいつか収益化できたら、取材という名目でこの文化会館に訪れたい。

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