2021年02月

大人だって褒められたい。




記事によると、コロナによる退学者がたったの1367人(中退率0.05%)だったとのこと。全体の退学者数は2万年8647人で、前年度より7000人近く減少。まあ、退学理由欄に「コロナ」があれば、一定数はチェック入れるでしょう。

それよりもこの経済的大打撃の中で、 退学者を1000人近くに食い止めた大学もすごい。学生のみなさんも、よく耐えました。4月以降はワクチンで回復傾向に向かうと良いですね。

大学は国からの給付とは別に、独自の奨学金や相談、フォローを惜しみなく行ってきました。新聞屋はデスクで適当に記事書いて世論を煽ることしかできないんでしょうけど、現場は結構大変なのですよ。

今は高等教育の就学支援で、たとえ非課税世帯であろうとも経済的に救われる制度ができています。それでも経済的に通えなくなるというのは、それは大学ができる範疇を超えているのです(例えば奨学金を生活費に回さざるを得ない家庭まで大学が面倒をみることは不可能)。
財務的には、今年度決算は「奨学費支出」「国庫補助金収入」が増えるでしょうね。

先日も書きましたが、タイトルであたかもコロナ理由で退学者が増えているよう間違った誘導した「朝日新聞」「ファイナンシャルフィード」、その他3流ゴシップ紙の皆さん、現場を混乱に陥れてくれて本当にありがとうございました!



昨年の2月あたりからコロナが本格的に騒がれはじめ、それらに対応し慣れない遠隔授業やその他モロモロの対応や支援を頑張った教職員の皆さん、本当にお疲れさまでした!
そしてなによりこのコロナ禍でも柔軟に対応し勉学を進めた学生の皆さん、本当にスゴイ!

ついにきましたね。



まあ、この学園は「文星芸術大学」という4年制の大学もやっているので、短期大学部門を閉じても大丈夫なのでしょう。

そんなに財務悪かったの?というのは、過去のブログを見て一目瞭然。



19大学中、15位という低調な結果であった。
短期大学は充足率も満たせていなかったため、早めに処理しておきたかったのかも。


それでは、この学園の個別の財務を見ていこう。
まず、教育活動収支(本業)と経常収支。
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あ、これアカンやつや・・・。

3年連続で本業も経常収支もマイナス。機関ごと(中学・高校・大学別)に収支を出していたが、やはり大学・短期大学部門で大きなマイナスを出している(借入金で収支の均衡を保っているが・・・)。

これだけ赤字出し続けていたら、貯蓄も減っていくんじゃないの?ということで、運用資産(現預金+有価証券+特定資産)と借入金を見てみる。

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う~ん、微妙!

運用資産は現預金のみ、特定資産はなし。借入金は大部分が短期借り入れです。事業収支上は赤字なのになんでキャッシュが減らないの?というのは、短期借り入れで資金をまわしたり、その他の収入で資金収支上はお金が流出しないようになっているのだと思われる。
ヤバイ大学にありがちなのが、運用資産をほぼ現預金でもっていること。銀行の利息なんて微々たるものです(事実、この学園の令和元年度の「受取利息・配当益収入」は7千円w
ていうか、いち学校法人が8億程度の現預金しかないって、結構ヤバイですけどね。


早めに短期大学部門を閉じて(むしろ遅いぐらい)人員整理するのは、良い判断かと思います。急に首切りはできないので、定年退職を待って徐々に人件費を減らしていけば、少しはマシになるかと思います。

今回の短期大学部門学生募集停止、良い判断!


株高が続いてますね。何年も前から資産運用の必要性はずっと説かれてきたのに、何もやっていないというのは、本当に愚行だと思います。
これ、個人に限った話ではありません。大学だってそうです。
事業団が発表している大学の運用利回りは、全体で1%を切ってしまっています
(終わってる・・・)。


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出典(https://www.shigaku.go.jp/files/sisanunyouanke-to-h30.pdf)

お金はほとんど銀行に預けています、という大学もあるでしょう。でも、それって相対的に資産を目減りさせていることに早く気付くべきです。
今の時代、一つの事業のみでやっていこうというのは危険な思想です。大学だって、いつまでもつかわからない。だからリクス分散する。当然のことですよね。上手くいった典型例が、エリザベト音大。



早稲田だって慶応だって、上位の大学はとっくに対応してます。




とにかくリスクをとることに躍起になって批判する人たちがいますが、そんなのは無視です。現状維持は衰退を意味するので、何もしないことがそもそもリスクなのです。

一般的には過激かな、と思われることでも、肌感覚で自分にもできそうだ・やるべきだと感じるものは積極的に取り入れた方が良いと思います。
私個人で言えば、このブログの収益化。大学職員をやっていて感じたのですが、知識だとか情報をもっと流動的にやり取りできればいいなと思っていました。交流会的なのがあるんですが、ああいうのはただの飲み会です。
きちんと情報を流通させて相互に良い影響を与える。その発信のモチベーションの1つとして、収益がないと、おそらく長続きしないと思うんですよね。ブログで収益化なんて何周遅れだと思われるでしょうが、大学業界に信徒できれば、と思っています。

自己啓発系みたいになりましたが、皆さんの挑戦はなんでしょうか。

なるべく原始的な生活をする

最近、コレ系の本を結構よくみかける。そして共通して言っているのは、とにかく原始的な生活を意識し、デジタルデバイスから意識を遠ざけることだ。
携帯はしまう。デスクの見えるところに置くことすらダメだ。視界に入ってしまうだけで、集中力が奪われてしまう。音出すなんてもってのほか。
最近、集中力を阻害するものが増えてきている気がする。SNSなんて典型だ。最近力入れてやるようになってわかってきたが、とにかく人のやることに文句をつけたい暇な人が多いため、構ってるだけ無駄だ(同じIPアドレスでうちに批判コメント何度もしてる君、君だよ!)。程よく距離を保つ力が必要だ。
マルチタスクになってしまう場面も増えた。 何か作業している間は、ブラウザは閉じたほうが良い。とにかく目の前のタスクに集中することだけ意識するのだ。
これ、意識してやってみると結構良い。没頭できるくらい物事に集中できるようになったし、効率もあがったように思える。事務作業に限らず、ぜひ意識してみてください。

集中」で思い出したが、最近ボクがよくツイートする東京福祉大学の中島恒雄総長の研修に対する感想文にも「集中」という単語が良く使われている。




東京福祉大学学長補佐
元東京福祉大学学長
元筑波大学第二学群長
元筑波大学第二学群人間学類長
元筑波大学心理学研究科長
元学習院大学教授
日本認知心理学会初代理事長
教育学博士
太田信夫(原文ママ)先生など、一つの感想文に5つも「集中」という言葉を用いている。東京福祉大学は肩書を経歴書のように書き連ねるのが特徴だ。

ちなみに同大学は、総長に権力が集中していることが問題視され、先般の問題を引き起こしてしまったとされているが、大学側はそうは思っていないようだ。きちんと目の前の問題に集中して向き合い、説明責任を果たしてほしいものだが・・・。

昨日の地震ビックリ。久々に外に逃げ出そうと思うくらい、大きな揺れを感じた。



さて、震災に伴い授業等が実施できなくなることがあるが、一番悲惨なのは建物崩壊等による機能不全に陥ること。東日本大震災レベルになると多くの大学が立ち行かなくなり、復興支援として多くの予算がついた(事業団を通して一般補助と特別補助で交付)。

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一般補助は128億円もの増額があったそう。

余談だが、その後会計検査院の指摘により、過大交付があったとして、4法人が補助金の一部返還した。通常、特別補助に係る計算は事業団が定めているが、今回の震災に係る計算式は急を要するため文科省がはじき出した。

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吐き気を催しそうな計算式だが、一般補助はもっとややこしい。
この計算式について、簡単にいうとその法人の事業規模に対して過大に交付されてしまう計算式なのでは、という会計検査院の指摘があり、泣く泣く返還したのだ。学校法人側からしたら、文科省から言われた通りに計算し補助金をもらったのに、いい迷惑だっただろう。




話変わって記憶に新しいのが2016年の熊本地震。このブログでも取り上げた平成音楽大学はモロに被災し、ほとんどの建物が倒壊した。平成音楽大学の財務状態はお世辞にも良いとはいえない上、収容定員充足率も5割を切ろうかというレベルだったので、本当に危機的な状態にあった。
一般企業ならここで終わりだが、大学は違う。手厚い補助があるのだ。
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熊本県より震災補助13億円、その他20億程度の借り入れで、校舎を一新した。



同大学の運用資産は3億円程度なので、これは本当に大きい収入だった。まず自力では復興できない。それくらい、自然災害による補助金というのは死活問題なのだ。
ちなみにその後、校舎を一新した平成音楽大学は相変わらず収容定員充足率が5割程度だ。

このように日本の大学(というより日本)は各種災害があったとき、結構手厚い。
コロナの際も多くの補助金が投入され、結果的に退学者や中退者が減った。
これは各大学の努力によるものが大きいが、やはり一番大切なのは、どの程度お金がもらえるか、だ。



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