2021年10月

うおおおお借りたものを返さずチャラにできるらしいぞ!!今のうち借りとけ!!

令和新選組という政党が公約に「奨学金チャラ」を掲げているらしい。

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まず検証前にツッコミ入れるが、「
コロナ危機で、短大生・大学生が退学に追い込まれている。」とあるが、奨学金は在学中返済義務がない。おまけに利子もつかない。

現在いくら奨学金の債権残高があるのか。日本学生支援機構の貸借対照表をみてみる。


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第一種が2兆8767億円、第二種が6兆5,926億円だ。貸し倒れ引当金分を差し引くと、9兆4,000億円ものお金を現在貸し付けていることになる。

仮にこの状態で、2022年4月、突如徳政令により奨学金が全てチャラになったとしよう。
この場合、日本学生支援機構の財務はどうなるか。2020年度決算に当てはめ、シミュレーションしていく。まずはキャッシュフロー上どうなるか。

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まず、支出面だが徳政令が現在返済中の人のみとするので、支出の大きな割合を占める学資貸与金支出は例年通りかかるとする。
細目は不明だが、おそらくこれらに貸与回収にかかる費用もあり、チャラになった場合これらの業務がなくなるため幾ばくか安上がりになるだろうが、ここは単純化のため例年通りとする。
収入面では学資貸与金の返済収入が無くり、第二種の利息収入、延滞金収入も無くなる(そもそも借り手がいないので)。現在返済中の人はチャラになり、現役大学生には貸与している状態(在学中は利子が免除される)のため、こういった収入が無くなる。
これだけで、約▲9,164億円の収入減となる。

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その他投資活動CF、財務活動CFは例年通りとする。
結果、約▲8,327億円ものキャッシュフロー上の赤字となる。
現預金は3,100億円程しかないから、当然資金不足に陥る。

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以前ブログで紹介したが、日本学生支援機構は3,000億もの現預金と200億円程度の有価証券を持っている。

現在返済中からの人の収入がないと、これに近い赤字が毎期出ることが予想される。そう考えると、やはりこの9兆円の貸与債権、本当に徳政令を出すとするのであれば、丸々政府が保証することになるだろう。
9兆円がどのくらいの額かというと。国の1年間の収入が約100兆円で、うち公債が43兆円だ。この公債が2割程増えるイメージだ。
いきなり9兆円支出する必要はないだろうから、毎年1兆円、政府が日本学生支援機構に9年間補填し続け、この間に支援機構に支出を減らし収支の均衡を保ってもらう。

このザル試算、どうでしょう?!

めちゃくちゃ儲かってます!



過去一番で注目されているであろう日大。日大って財務的にどんな感じなんだろう、というのを見ていく。
まず日大の規模感を理解するために、事業報告書を見ていこう。
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大学の学部数は通信学部を含め17学部にものぼる。
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また、付属中高は16校にも及び、大学主体の学校法人としては異常な規模だ(ちなみに、小学校と幼稚園の付属校もある)。

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在学生数はどうか。学部生だけで65,937名にも及び、院生3,000人程度と合わせると、静岡県の伊東市の人口レベルの人数になってしまう。
日本一学部在学生数が多いのが日大で、2位の早稲田でさえ38,000人、3位の近大で33,000人程度だから、その規模の大きさは明らかだろう。
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事務部門も本部だけで27課にもおよび、学部にそれぞれ会計課や庶務課等の一般的な事務機関が張り付いている、異質な形だ。規模が大きいためそのような形にしないとまわらないのであろう。
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専任教員は2,569名、専任職員は3,633名と、日大内部だけでかなりの雇用を生んでいることがわかる。
ちなみに日大の職員は残念ながら内部の人間しか受け入れていない。
それは募集要項にも書かれており、この内々で済ます体質が、今回の事件を生んだのではないでしょうか。
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さて、日大の財務だが、直近3年は黒字が続いている。2019と2020年は補助金収入の増加や支出減により、黒字幅が特に大きい。また、過去10年を見てみても、ほとんど黒字だ。
下記画像の「教育活動収支」は本業の儲け、「経常収支」は利息等を含んだ儲けだ。特に2019年と2020年は100億円規模での利益が出ている。
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運用資産(現預金+特定資産+有価証券)も、この10年で200億円ほど増加し、着々と貯金もできている
。固定資産全体も、この10年で400億円程増加し、法人の規模自体も大きくなっている。
この運用資産3,000億円という数値は、学校法人でも屈指の多さだ。
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当たり前だが今回の事件に限らず施設設備の更新等は毎年発生する。多い年で数百億円程の支出を計上することもある。また、日大は物品調達や施設計画や業務委託も事業部に投げており、その過程で何か不正が起こる可能性は十分にあるだろう。

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※日大事業報告書より

今年の会計検査院はぜひ日大の全面的な洗い出しに乗り出してほしいですね。

なんせ、日大は補助金収入で2020年度は210億円ものお金をもらっているのですから。

今年度分は返還になる可能性もあるかもしれませんね。

また動きがあったら更新していきます。

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すみません、長らく放置してました。

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日本医科大学については下記で取り上げています。
医大って猛烈に収入があるからなんでしょうけど、設備投資も猛烈にしますよね。
一時期は借入金利息だけで9億円程払っていました。



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フヒヒ個人情報は秘密なんです・・・サーセン・・・。

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これらに限らず「どうですか?」といった内容の質問が来るのですが、逆に聞きます。

どうですかってなんですか?
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運用益ほとんどない大学なんてザラにありますよ。関西の大学は特にそうです。
理由は簡単。そんなリスク取らなくてもお金は普通に入ってくるからです。関西の関関同立と近大見てください。あんなに金余らしているのにまともに運用していない。個人から見ればあり得ないと感じるのですが、大学業界は減点方式。リスク取ろうと動いた方が負けなのです。

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大学は一般的な企業のように規模の利益は薄いですからね。単科大学の方が動きやすいでしょう。理事会見てみてください、偉い人がいっぱい集まると自分の利益しか考えないのです。今の日本の産業構造考えて、文系学部がそれほど必要かと問われればそうは思いません、私は。
あと、中途半端な偏差値で複数学部持っている大学はこの先危ないですよ。負債になりますから。簡単に学部廃止やリストラはできないですからね。

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現預金が最も大事は多分言ってないですね。特定資産等の積み立ても大事なので、ノートルダム女子大学は特定資産を2億円程増やしているので、ただお金を預ける場所を変えただけかと。過去の財務諸表見ても1億円未満の現預金でやってるので、それくらいでも大丈夫なんでしょう。

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誰が興味あんねん!

他の人の質問も今後答えていきますので・・・!

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