2022年05月

貧乏は文化を破壊する

5月19日、とあるツイートが突如として流れてきた。


どうやら大阪音楽大学で、楽器資料館の資料移管(+廃棄?)と閉館するという噂が流れているようだ。

楽器資料館は、「日本の伝統楽器」「ヨーロッパの楽器」「世界各地域の楽器」等、2,000点もの所蔵がある資料館だ。

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その後、このツイート主に数々の情報提供があり、裏取りができたようだ。


まとめるとこうなる。
  • 現在の楽器資料館はまもなく閉館し(5月末の予定がSNSでの情報が拡散したため1ヶ月ほど延期)、8月から教室に変えるための工事に入る。
  • 現在の楽器資料館は教室に改修される。この教室は今年新設のミュージックビジネス専攻の教室として使用される。
  • 現在、展示されている楽器群は3種に分けられ、一部は学内の他所に移され、一部は移譲先を探して手放すことが今週初めて公式に説明された。しかし学生をはじめとして多くの教職員には何の告知もないままである。
  • 手放すとされる「民族」楽器の数量は千点近いであろう。辺境の地、戦争や紛争のため二度と入手ができない楽器も多く含まれるが、教室不足のために手放すことを大学は考えている。悪くすれば廃棄もありうる。

半分以上手放すのはワロタw

そんなことをしないといけないくら、経営に余裕がないのか。
相対的な財務評価は「音楽大学 財務ランキング」を参照されたい。


まずは収支。
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当然のように赤字。6年連続赤字である。運用資産の割に配当益は高いので、これにより経常収支は若干改善。人件費比率は61%と全国平均より若干高めであるので、収入に見合った人件費の見直しが必要である。

次はバランスシート。
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もっと過去のものを遡りたかったが、2015年までしか見られなかった。運用資産はそれほど変わっていないが、借入金が2倍近くになっているのが気になる。
運用資産余裕比率は1.5年分と全国平均を若干下回る程度であるが、そこそこに貯蓄はしている。

概して、大阪音楽大学の財務はあまり良くない事が伺える。もちろん、上野学園大学ほどではないが、放っておけば悪くなる一方なのは明らかだ。
収容定員926名に対して在籍者数826名と、まずは定員を充足させ収支を安定させることだ。場合によっては収容定員を見直し、適正規模を図ることが大事なのだ。

「新しく教室を作る」というために、資料館を潰す理由が分からないが、まあ反発を受けるでしょう。
経営サイドは目に見えないものに価値を置けない人が多いと思うので、ここはいかに関係者がゴネるかが重要だ。いいですか、上野学園大学の二の舞にならないよう、早めにゴネるのです。そして今の財務状態を客観的に評価し、見直しを行わなければなりません。


立ち上がれ、大阪音大生!そしてワイにも情報くれ!


全くの余談ですが、新しい教室は財務がひっ迫していることを勘案しクラファンするか、資料館を有料にするってのはどうでしょうか?

限界大学は震えて眠るしかありません





愛国学園大学の2022年度入学者数が早々に公開されていた。

同大学と言えば、本ブログでも扱った「外国人留学生が9割」の大学だ。



留学生が完全にストップしてしまったからなのだろう、化けの皮が剥がれた感じだ。

まず、入学定員100名に対し2022年度は11名の入学であった。
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そして2022年度時点での在籍者数は99名。収容定員充足率24.8%だ。
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2018年からの入学者推移は以下の通り。綺麗な右肩下がりで、かなり苦しい。
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前述のブログでも述べていますが、そこまでして無理やり大学運営する必要あります? なぜなら、愛国学園大学は財務は良好。

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一部不明な数値がありますが、教育活動収支(本業)で赤字は出ているものの、投資活動により利息収入だけで5億円ほど収入があるため、経常収支では黒字に。
それもそのはず、この規模にしては多額の300億円近い運用資産を持っています。その他流動資産の内訳がわからないため、おそらくこの中に有価証券がありますが、額がわからないため除外しています。
運用資産余裕比率は驚異の11.5年分。働かずして11.5年分もニート生活ができるくらいの貯蓄があります。少なく見積もって。
教育活動収支で赤字が出ているのは、まあ間違いなく大学部門が原因でしょう。中高に影響がでないよう、とっとと撤退した方が良いと思いますけどね。

もうこれ以上若者を犠牲にするのはやめてください


2023年、東京都渋谷区に「渋谷女子インターナショナルスクール」が開校する。
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文科省によると、インターナショナルスクールとは、
主に英語により授業が行われ、外国人児童生徒を主な対象とする教育施設


渋谷女子インターナショナルスクールでは、起業家コースやグローバルインフルエンサーコースなどに分かれており、動画制作授業やネイティブによる英会話があるそうだ。
講師はそうそうたる面々で、モデルのゆうちゃみ、思春期録編集局長の大北 友紀乃氏、Tiktokerのりょうくん等が名を連ねる。

学費は以下の通り。

入学金:150,000 円
教材費・施設設備費:150,000 円
行事関係費:90,000 円
授業料:900,000 円
初年度合計:1,290,000 円

授業料90万円は、明らかに他の高校と比べても高い。中央大学や青山、成城の付属高校であっても90万円未満だ。一般的なインターナショナルスクールならまだしも、このバリバリ日本語のスクールにそこまで払うのはかなりの賭けだ。
※無認可の高校は各種税金が普通に課税されるため、やはり学費の面で高くなってしまう。

これとは別に、「提携通信高校」の学費がかかってしまうようだ。文科省の認可を受けていないのだから、高卒資格を得るためでしょう。なので、「塾」のようなイメージでしょうか。一般的なインターナショナルスクールも無認可校があるみたいですね。

いいですか、もしこれを見ている中学生の方がいたら(いないと思うが)、よく聞いてください。
15歳~18歳というのは、自己を形成するうえで非常に重要な年齢です。高校というのは生活の主体となり、今後の人生に大きな影響を与えます。だからこそ、高校選びは慎重になるべきです(というか、ここは高校じゃないが)。
何も実績がなく、一般的な大人が見て違和感を感じるスクールに飛び込むことがどれくらいのことかわかりますか。
ここにいる講師陣は、第一線で活躍されている素晴らしい人たちなのでしょう。でも、彼らは貴方たちの人生に責任は持ちません。いくらスゴイ人間が教えたところで、実績がないのであれば無意味です。彼らは個々の業績において実績があるだけで、「教える」という立場での実績はないのです。それくらい、教育というのは難しいのだと思います。
そういった意味で、「とりあえず実績のあるところに行く」というのは至極全うなのです。
普通科高校に行くのもよし、高専に行くのもよし、日本で長くやっている「一般的な」インターナショナルスクールに行くのもよし。

このスクールを否定するわけではありませんが、好きなことなんて空いてる時間にやれば良いのです。高校生活全てそれにする必要はない。
いいですか、進学は良く考えて、慎重に行ってください。

正しく物事の分別がつかない子をよくわからない所に迷い込ませる。これほど罪なことはありません。文科省肝いりの専門職大学ですら、もうグチャグチャなのですから。


なんでまだ女子大なんてやってんすか?


2023年4月 男女共学に関するお知らせ(構想中)

神戸親和女子大学が2023年4月に共学化をするそうだ。
同大学は1966年開設、2学部と1研究科を持つ単科女子大学だ。2021年5月時点での学部充足率は89.5%。2021年度入学は415名の定員に対し290名の入学者と、かなり危機的な状況だ。

財務はどうか。
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2005年に比べ運用資産は30億円近く減少。借入が運用資産を上回るヤバイ状態に。経常的な支出に対してどれだけの貯蓄があるかを見る指標「運用資産余裕比率」はマイナスの値に。かつては多くの有価証券を保有していたが、今では0。そんなものにお金を回している余裕などないのだ。

収支も赤字安定。確認できる2016年からずーっと赤字だ。これだけ定員割れを起こしているのであれば仕方がないが、この状況はしばらく続くであろう。
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2019年に共学化した広島文教大学は、2020年度決算において約5年ぶりとなる経常収支差額黒字を達成した。一方で上野学園大学のように共学化しても廃校に追い込まれる大学もある。



単純に考えれば今まで女子学生のみだったマーケットが男子も入って2倍になるのだからボーナスタイムだが、果たしてうまくいくのか。

自力でなんとかしろボケェ!

滋賀県にある私立大学、長浜バイオ大学が市に公立化を提言したそうだ。



記事にはこう記載がある

「今年度の入学生は161人と、定員の238人を2年続けて下回っています。大学では、18歳人口の減少や近隣大学との競合激化などが理由としています。」
「今回発表された改革案はこうした状況に対応するもので、ビッグデータサイエンスを専門とする学部・学科の創設や公立大学法人化などを柱として、学生の確保を目指します。」

いやいやいや!!まずなんで定員割れてるのに新しい学部を作ろうとするんですか???

定員割れというのがあなたの実力です。実力がないのに新しいことをして一発逆転目指すのは、多額の借金を抱えるギャンブル依存症の人間と同じです。目の前にある現実的な問題に目を向けず、新しいことをすることで逆転を狙う、あまりにも愚かです。

「特に、公立大学法人に移行することで地元の小中高校などとの相互連携が一層促進されるメリットがあるとしています。」
ふっざけんなwwwあんたらがメリットあるだけで、別に他の住民はなんのメリットもねーよ!!
そもそも、今までの公立化の流れは定員割れと共に財務がヤバイ大学。長浜バイオ大学の財務はどうか。
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まずは収支。2019年は赤字であったがそれ以外は安定して黒字を出しており、2020年は全国平均並みの経常収支差額3.8%。確かに学納金収入は学生数減少と共にどんどん減っていっているが、それでも黒字は確保している。220515-2
次はBSを見ていく。運用資産は学校規模に比べ高水準で推移しており、無借金。運用資産余裕比率は全国平均を優に上回る2.8年分。まだまだ十分な貯蓄はあり、学生数回復の手立てはいくらでも打てる。
運用資産余裕比率は経常支出に対して何年分の貯蓄を持っているかを見る指標だ。長浜バイオ大学は、収入0でも2.8年分ニート生活できるくらいの貯蓄を持っているのである。
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大学ポートレートを見ると、確かに2021年度入学生数は前年比7割程度にまで落ち込んだ。2021年度決算は赤字の可能性が高いでしょう。それでも、直ちに経営が立ち行かなくなるような状態ではない。
教育投資は十分か?広報はできているか?奨学金は充実すべきか?いくらでも考える余地と時間はある。

以上のように、学生数低下と共に収支は若干悪くなっているが、資金収支上はむしろお金が増え、貯蓄も増やしている。全国平均と比べても、十分なくらいな良好財務だ。

自身で努力もせず、学生数が減ったからいきなり公立化提言。少しくらいは努力しないのだろうか?
もう一度言います。


「学生数が低迷しているため公立化を提言」


意味わからなくないですか?自分のケツは自分で拭いてください。


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