改善の余地あり

何かと話題になる東京女子医科大学。そのガバナンスの在り方や財務、お金の使い方については度々ニュースとなっている。





度々指摘される同学校の財務、本当に悪いのか。
長く令和3年度決算が9月にようやく公開。普通、6月には公開するもんだが、この大学は違う。さすがに10月過ぎると経常費補助金に影響するためか9月にずれ込んだ。
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まず収支。本業(教育活動収支)も経常収支も比較的安定している。特に、2020、2021年度はコロナ関連の補助金収入があったため、高い水準での黒字だ。
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しかし、バランスシート上の額を見てみると、運用資産より債務が多くなってしまっているおり、むしろ財務が悪化している。これはどういうことか。
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キャッシュフローの流れを見ると分かりやすい。同大学は本業である教育活動資金収支では大幅な黒字でキャッシュを生んでいるが(青部分)、施設設備投資が多額であるため、結果的にキャッシュが流出している(オレンジ部分)
※細かい話をすると、施設設備は減価償却で費用が按分されるため、CF上と同じように事業活動収支上でただちに全額費用となるわけではない。
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同大学の施設設備投資の額は年々と増えており、これが妥当かどうかは何ともいえない。が、現在の財務状況を考えると、控えるべきであるのは間違いない。ましてや、労働紛争が起きている状態では人件費も十分に留意する必要がある。次に人件費を見てみる。
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画像のとおり、収入は増えているが(オレンジ部分)、人件費は減り続けているため、人件費比率が激減している。人件費比率は2015年の46.9%から、2021年の35.4%まで急落した。
医学部を持つ各大学の人件費比率を並べると下記のようになり、女子医科大学が著しく低いことがわかる。
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まとめると、東京女子医科大学の事業活動収支上の収支は悪くないが、施設設備が多額であるためバランスシート上の運用資産はガンガン減り、借入も多くなっている。この点について、見直す必要がある。
そして、人件費はなぜか下がっていっているため、収入に見合った人件費比率にすべきである。