2024年01月

安売り合戦じゃい!

医大の学費値下げはよく聞く。元々高止まりしていた大学が、その財務の健全さから、受験生増加を狙い行う。これにより競争力がつくこともあって、有効性がある。

だが、今回は医学部を持たない一般の大学・了徳寺大学だ。
一般の大学でも検定料を値下げすることがある。多くの大学にとって、入学検定料収入は全体の1%未満のものであり、重要性はそれほどない。だから、検定料を安くすることで、受験の機会を増やすのだ。
だが、学費値下げはそうそう行えない。多くの大学にとってこれが生命線であり
(大体全体の収入の8割くらいが学納金の大学が多い)、授業料に原価があるわけではないが、価格保持はある意味暗黙の了解だった。しかし、その暗黙を破る大学が現れたのだ。
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2024年度の入学生より適用。これにより、入学金を除く年間の学費は140万円となった。
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看護学部の学費を調べてみると、一番安い私立大学で福井医療大学110万円、高い所で東邦大学の240万円。 看護学部って高いんだな~。



では、了徳寺大学は学費値下げに耐えうる財務なのか
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教育活動収支は毎年赤字。定員を充足しているが、本業では赤字だ。つまり、現状の学費でも収支が成り立っていない状態となる。なお、2022年度に教育活動収支が黒字となっているのは寄付金5億円があったから。
今回の学費値下げで、単純計算だが2027年度時点で約2億円の学納金減少が見込まれる。赤字は加速しそうですね。
そして、経常収支で黒字となっているのはその他教育活動収入で安定的に収入があるから。恐らく、収益事業からの資金だと思われる。
収益事業は「医療保健業」を行っているようなので、恐らくこれがうまくいっているのか。
なお、了徳寺大学の理事長は「SBCメディカルグループホールディングスCEO」の相川氏だ。大学名も
2024年度から「SBC東京医療大学」となる。
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BS上もすげ~微妙。まあ借入金は減っているが、余裕はないですよね。でもまあ、運用資産の計算には入れてませんが、収益事業元入金が約40億円ほどあるため、余裕があるといえばあるのかもしれない。
恐らく、本業以外の稼ぐ力があるため、今回の値下げに踏み切ったのでしょう

受験生からしたら今回の値下げはありがたいかもしれないが、他の大学側からしたらたまったもんじゃない。
値下げ競争が加速すると、必ず支出をきりつめるということになる。どこがけずられるか?それはまあ、人件費でしょうね。
個人的に、過度な安売り競争は反対ですけどね。

通信教育で学納金確保

今年の6月に京都芸術大学の志願者数が2年連続で過去最高とあり、中堅未満、ましてや芸術系なのに珍しいなと思って流し見していた。


上記記事では通学過程の伸び率に言及しているが、そこじゃない。通信の伸び率がヤバいのだ。
下記画像は京都芸術大学(瓜生山学園)の学納金と「通信課程」の入学者推移だ。

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学納金は18年比で38%も増えており、通信課程の学生も約3倍に増えている
これにより、当然収支も改善。
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経常収支差額比率は驚異の30%www
経常収支は本業+ほぼ受取利息で計算されるもので、特別な収入なしに30%超えの経常収支差額比率はスゴすぎる。
これにより、BS上の数値も改善。
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この8年で、運用資産が5倍にも膨れ上がった
ちなみに、教育活動支出はこの8年で26%ほど増加している。中堅未満の大学で、これほど事業規模が大きくなるところはそうそうない。ましてや、芸術系の大学で。

そういえば、3年前に行った「芸大美大 財務健全性ランキング」でも、経常収支差額比率22%と、異様な高さだった。これもう逆にいうと人件費か教育研究費で還元しないと、割に合わないよ、中にいる人は。
あまりにも経常収入が高いため、人件費比率は31%と、全国平均50%に比べ著しく低い。医大でもこんな低い所そうそうない。
このランキングも、今やれば違った順位になるでしょうね。


しかしこの大学、京都市立芸術大学があるのに「京都芸術大学」としたり、2019年に付属高校開設したり、ゲームクリエイション・映像クリエイションコースを開設したりと、かなり動きが激しい。言い方は悪いが、これくらい図々しくないと、今後は生き残れないのかもしれない。

ここ、東京の港区にもキャンパスがあるらしい。
京都に住んでないのに広告が出てくるから不思議に思って検索。

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元気な大学だな。
東京の芸術大学の皆さん、ボヤボヤしてると関西の大学に定員奪われますよ!

これが「公益財団」や!



これ、5日間となっているが、12月9・10日が土日のため、実質10日までに送らないと郵送で間に合わない
このポストをした時は、えらくタイトな求人出しちゃったなあと思ったが、その翌日…



その後のHP掲載の取り下げが不可解。これ以降、再掲載がない。これは、下記2点が考えられる。

・あまりにタイトなスケジュールなため、批判があり取り下げた
・もう目当ての人間があり決まったため取り下げた

あくまで憶測だが、かなりの違和感を感じる。公益財団法人とはいえ閉じた空間なので、公募に拘る必要はないと思うが…。まあここは結構定期的に職員の募集をしているんだけどね。

ちなみに、東京都私学財団は東京都内の私立学校の総合的支援機関。軽減助成金や就学支援金を取り扱う機関だ。東京都にお勤めの教職員の方なら聞いたことあるところかと。定期的に、学校法人会計の研修などもやっているそう。

https://www.shigaku-tokyo.or.jp/pdf/info/boshu202106.pdf

過去の求人を見ると、経理スタッフも募集しているっぽい。
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40歳で700万円。公益財団法人なら結構いいんじゃないのかな~。こういう、学校の元締めみたいなところで働くのは、結構やりがいがあるんのではと思う。
まあ、正規の職員になるにはとんでもない倍率だろうが

富める者はますます富む



青山学院、駅伝総合優勝おめでとう!青山学院の財務を改めて整理してつくづく思うが、上位大学は適切に事業規模を大きくして、貯蓄も増やしてるんよな。
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経常収支差額比率も9.9%と驚異的だし、運用資産もキッチリ平均以上貯めこんでいる。これは、未来に向けての投資が不可欠であることを理解しているから。青山学院大学の事業計画を見てみましょう。


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2023年度だけでも
・幼稚園新園舎建築
・大学新図書館棟建築計画
・青山学院ミュージアムの開設

が掲げられている。っていうか、
青山学院ミュージアムて
愛校心強いところだと、こういうのも成立して良いですな。

noname
これは主な収入(CF上)の推移(2018→2022)なのだが、学納金が増えてるのはもちろんのこと、伸び率では寄付金、補助金と副収入のコアとなるところでしっかり伸ばしている。
配当益収入の伸びが鈍いかな。やっぱり上位大学でも、運用にはそれほど積極的でないところもあったりする。
言うまでもないが、まぁ~財務も盤石ですな。教職員の給与も良いみたいだし、羨ましいですわ。

ちな、下記の通り有名大学の財務ランキングも過去にYouTubeで投稿しています。


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