安売り合戦じゃい!

医大の学費値下げはよく聞く。元々高止まりしていた大学が、その財務の健全さから、受験生増加を狙い行う。これにより競争力がつくこともあって、有効性がある。

だが、今回は医学部を持たない一般の大学・了徳寺大学だ。
一般の大学でも検定料を値下げすることがある。多くの大学にとって、入学検定料収入は全体の1%未満のものであり、重要性はそれほどない。だから、検定料を安くすることで、受験の機会を増やすのだ。
だが、学費値下げはそうそう行えない。多くの大学にとってこれが生命線であり
(大体全体の収入の8割くらいが学納金の大学が多い)、授業料に原価があるわけではないが、価格保持はある意味暗黙の了解だった。しかし、その暗黙を破る大学が現れたのだ。
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2024年度の入学生より適用。これにより、入学金を除く年間の学費は140万円となった。
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看護学部の学費を調べてみると、一番安い私立大学で福井医療大学110万円、高い所で東邦大学の240万円。 看護学部って高いんだな~。



では、了徳寺大学は学費値下げに耐えうる財務なのか
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教育活動収支は毎年赤字。定員を充足しているが、本業では赤字だ。つまり、現状の学費でも収支が成り立っていない状態となる。なお、2022年度に教育活動収支が黒字となっているのは寄付金5億円があったから。
今回の学費値下げで、単純計算だが2027年度時点で約2億円の学納金減少が見込まれる。赤字は加速しそうですね。
そして、経常収支で黒字となっているのはその他教育活動収入で安定的に収入があるから。恐らく、収益事業からの資金だと思われる。
収益事業は「医療保健業」を行っているようなので、恐らくこれがうまくいっているのか。
なお、了徳寺大学の理事長は「SBCメディカルグループホールディングスCEO」の相川氏だ。大学名も
2024年度から「SBC東京医療大学」となる。
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BS上もすげ~微妙。まあ借入金は減っているが、余裕はないですよね。でもまあ、運用資産の計算には入れてませんが、収益事業元入金が約40億円ほどあるため、余裕があるといえばあるのかもしれない。
恐らく、本業以外の稼ぐ力があるため、今回の値下げに踏み切ったのでしょう

受験生からしたら今回の値下げはありがたいかもしれないが、他の大学側からしたらたまったもんじゃない。
値下げ競争が加速すると、必ず支出をきりつめるということになる。どこがけずられるか?それはまあ、人件費でしょうね。
個人的に、過度な安売り競争は反対ですけどね。