日本医科大学。歴史は深く、慶應義塾大学医学部、東京慈恵会医科大学と共に、私立医大御三家と称されるそうだ。 

直近2020年3月の貸借対照表上で、35000百万円もの長期借入金、14000百万円もの短期借入金がある。 これはヤバい状態なのか。同大学の運用資金は現預金8400百万円、特定資産58百万円で運用資金を大きく上回る借り入れをおこなっている。


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固定負債比率(固定負債の総負債+純資産に占める割合)は43%と、全国平均8~10%を大きく上回る。借入をし施設設備投資することが学生募集や教育研究上にとって良いとも言えるが、同法人の手元資金を見る限り、過度な借入のような印象を受ける。そして毎年、借入金に対する利息返済支出で500〜600百万円ほど計上している。

では、なぜこれほどまでに借り入れができて、何に使っているのか。
教育活動収支差額(本業)は8225百万円の黒字。ここ数年はこの数値に近い大幅な黒字を出している。中身を見てみると、それを支えるのは収入の8割を占める医療収入(8486百万円!)だ。 

しかし、だ。本業から飛び出して、施設設備等活動による収支は5100百万円もの赤字。2018年頃から、毎年5000百万円ほどの赤字を出している。通常の施設設備投資をしていれば赤字が出るのは仕方ないことだが、それにしても赤字幅が大きすぎるしこの財務状態でやることだろうか。学校法人は永続的な活動と学生の学修機会確保のため、財務の健全性を強く求めている。


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そして、事業報告書には包み隠さず借り入れ残高・利息支出の経年変化を公表している。
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借入金は一番多い時で平成27年の65400百万円。平成22年の借り入れ利息は900百万円近くも支払っていた。こりゃ貸し手にとって優良顧客、要するにこれだけ借り入れできる信用力があるということだ。

だが、現預金
8400百万円、特定資産僅か58百万円と積み立てをほとんどしていない状態で、このような設備投資は果たして妥当なのか?

病院を持つ大学で医学部の地位も盤石なので、急に崩れることは考えられない。しかしこの自転車操業的な経営は、学校法人にしてはいささか不安なやり方である。


まとめ

  • 日本医科大学は固定負債比率が43%と、全国平均8〜10%を大きく上回る。
  • 医療収入を柱として毎年大きく黒字を出しているので問題はないが、積み立てをしていないので不安 
  • めちゃくちゃ借金してめちゃくちゃ設備投資をしているが、本業の稼ぎの良さで借金は徐々に返してはいる。