日本電産といえば誰もが知る世界的なモーターメーカ。そのCEOが永守重信氏だ。2018年に京都先端科学大学(当時の名は京都学園)の理事長に就き、200億円ほどの私財を投じる計画だそうだ。

私財200億円超…日本電産創業者の永守重信氏、相次ぎ寄付する理由


    しかしニュースで200億円という数字はよく見るが、本当に投じているのか?財務書類から見ていく。

    時をさかのぼって2016年の資金収支計算書をみてみよう。寄付金収入は27百万円ほどだった。

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    ※京都先端科学大学HP「財務情報」より
     https://www.kuas.ac.jp/about/info-disclosure/financial



    ところが2017年、寄付金収入は1,059百万円に跳ね上がる。当時の事業報告書には
    「在校生・保護者及び篤志家からの寄付金や寄付講座の開講寄付です。」
    とあるが、篤志家とは・・・。

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    そして2018年、寄付は加速する。2018年度決算において、寄付金収入は3,634百万円となった。ここまでくると、学納金収入4,282百万円に追いつくレベルだ。全体の収入に占める寄付金の割合は27%のにまでになり、貴重な収入源に。
    当時の事業報告書を見てみても、大学創立50周年のため、個人や企業等から集めたと記載。もう大部分を永守さんからもらったって書いちゃいなよ。

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    そして2019年、ついに寄付金収入は8,555百万円に。学納金4,309百万円を軽く超えた。収入に占める寄付金の割合は48%と、約半分が寄付金によって構成された収入構造となった。
    当時の事業報告書には、ついにこの記述が

    「京都太秦キャンパス南館建設が着工され、永守理事長よりの寄付金受入を行うとともに、取引企業や卒業生等に広く募集を行った。」

    永守氏から寄付金を受けていることを事業報告書に明記。

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    2017年~2019年度決算の3年間で、13,000百万円近くの寄付を集め、その相当割合は永守氏個人からのものと推察できる(本当の内訳はわかんないですけどね)。

    結論をいうと、永守氏はきちんと寄付をしていた。20,000百万円の寄付を表明しているようだが、それも今後数年で達成されるであろう。
    やはり学部を作るには、教員集めや校地校舎の取得でお金がかかるであろう。

    ちなみに同学園は、特定資産1,299百万円に現預金3,464百万円と、手元資金は規模にくらべあまりない。おまけに借入金が2,000百万円ほどあるので、少し長期的な財務はよろしくない。
    この財務体質ではおおよそ新学部を作る力なんてなかっただろうが、なんと永守氏個人の資金力で達成してしまった。
    校舎等を新築しているので、今までは寄付金で黒字を出していたが、寄付が途絶えたら減価償却費の増加で事業収支上は赤字が続きそう。
    新学部がどれほど稼いでくれるか、それによって同学園の命運が分かれる。

    また、永守氏は2030年を目途に、医学部構想を語っている。今年で76歳、まだまだ元気だ。