その発表はあまりにも突然だった。文部科学省のホームページに、「認可取り消し」の文字が飛び出した。
「 「JAPAN e-Portfolio」の運営許可については、一般社団法人教育情報管理機構に対して「許可(条件付き)」していたところですが、…(中略)…審査等も踏まえて、文部科学省において運営許可要件を満たさないと判断したことから、令和2年8月7日付で許可を取り消すこととなりました。」
これは、要するに「債務超過で運営できませんのでやめまーす」というわけだ。JAPAN e-Portfolioの詳細は他サイトに譲るが、簡単にいえば調査書に書かれているような各種データをインターネット出願に連動させるためのシステムだ。
それではどういった財務状態だったのか、教育情報管理機構のHPに載っている2019年度決算報告をみていく。
まず、2020年3月末時点の貸借対照表だ。
資産の部は流動資産の現預金1,595千円のみ。
負債の部は流動負債(1年以内に返済しなければならない負債)が55,000千円と未払い消費税404千円と、いきなり53,806千円の債務超過。
それでは一年間の活動の中で、どのように債務超過を出したのか、収支決算書を見てみよう。
まずは収入の部。
大きな収入を見込んでいた一般会費。予算の段階では60,000千円の収入を見込んでいたが、結果は6,800千円と、▲50,000千円以上もの乖離。
それに連動しデータ利用料も予算40,000千円から決算では5,000千円と35,000千円もの乖離。
そのほかも見てわかると思うが、とにかく予算で組んでいた見込みを決算で達成しているものが少ない。予算より多いものは、講演収入と連携開発費(なんだこれ)だけだ。
全体で152,561千円もの収入を見込んでいたが、結果はその半分にも満たない66,547千円。あまりにも予算の見通しが甘すぎる。
支出の部を見てみよう。システム運用経費を110,000千円で予算で組んでいたが、実績は55,000千円。注釈を見るに分割払いをしたようなので、あまりにも収支が合わなくて支払いを伸ばしてもらったのだろう。なんせ、消費税すら支払いが怪しいのだから。
これにより、2019年度決算は53,809千円の赤字でフィニッシュ。
気になるのは、この負債誰が引き継ぐのかということだ。
同法人の定款によるとこう規定されている。
「第59条 この法人が公益認定の取消しの処分を受けた場合又は合併により法人が消滅する場合には、社員総会の決議を経て、公益目的取得財産残額に相当する額の財産を、当該公益認定の取消しの日又は当該合併の日から1カ月以内に、公益法人認定法第5条第17号に掲げる法人又は国若しくは地方公共団体に贈与するものとする。ただし、その権利義務を承継する法人が公益法人であるときを除く。」
わかりにくいが、要するに解散するときの財産(この場合負債)は国又は類似の事業をする法人(学校法人や独立行政法人等)に贈与することになっている。みたところ株式会社は引き継げなさそう。このシステム、どこに発注したかわからないが、この事業にかかわったベネッセは無傷で済んだわけだ。この負債、税金で処分したのかな?そのあたりの説明もすべきだと思うが、たぶんなかったことにされるだろう。
大学入試改革の深き闇…「Japan e-Portfolio」中止騒動がキナ臭すぎる
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/75062?page=3
この記事によると、同機構はシステム運用をベネッセに「再委託」したらしい。
ベネッセさん、チョロイ顧客相手に儲かりましたね!