名古屋柳城女子大学という大学をご存じだろうか。僕は知らない(なかった)。

愛知県名古屋市にあるこども学部のみの大学で、2020年に設置されたばかりだ。もとは短期大学で、4年制に移行した。1953年に短期大学設置以降、細々と活動を続けてきた。ところが2020年に4年制開設の決定が財務に大きな悪影響を与える。詳しく見ていきたい。

言うまでもないが、この大学も定員未充足大学だ。1年目の入学定員70名に対し、入学者数35名と、充足率50%だ。2020年度からの大学なので、今のところ学生は35名しかいない。
また、短期大学の方も充足率7~8割程度であったため、なぜ4年制に移行して成功すると思ったかは不明(短期大学時代の入学定員は130名であった)。

4年制に移行すると、施設設備支出・人件費も上がる。経年変化を見ていこう。
まず、人件費は2016年の527百万円から602百万円に増加。施設設備費支出は79百万円から598百万円に増加。直近3年、500百万円程度の支出がある。


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名古屋柳城女子大学HP「情報公開」より
 https://www.ryujo-u.ac.jp/policy/disclosure.html

それでは収入は増えたのか、見ていく。
学納金収入は2016年の526百万円から2019年の454百万円に減少。大きな収入源である学納金・補助金ともに減少している。


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これら支出増・収入減に伴い運用資金はどうなったかをみていく。
特定資産は2016年の30百万円から2019年に20百万円に減少。現預金は1642百万円から765百万円に激減。

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その一方で負債は増えた。長期借入金は14百万円から234百万円へ。短期借入金も微増している。
確かに、大学の規模拡大のためには施設設備拡充が必要であるが、それはその分定員を充足できての問題。それができていないのであれば、ただ無駄に固定費が重くのしかかるだけである。


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運用資金は特定資産20百万円と有価証券150百万円、現預金756百万円の合計926百万円である。
2019年度決算では▲92百万円ほどの赤字であるから、おおよそ10年は耐えうる貯蓄をもっていることになる。
ただ個人的には、これからも赤字幅は増えていくと予想しているが・・・。

場所は名古屋市でそんなに悪い立地ではないんだけどね。
なんせ世の中には、すごい場所にキャンパスを置く大学があるのだから・・・。