あります。

〇〇比率とか言われてもピンときませんよ、という人いるでしょう。比率でみるのはその大学の規模にあったものかどうかで見るためなので、絶対値で見ると全体像がボヤけてしまうのですが。でも、もっと手っ取り早く見る方法、あります。
最初に断っておきますが、財務は総合的な視点で見ていかないとわからない部分もあり、これをもって必ずしもヤバイというわけではありませんが、まあほぼイコールと思ってもらっても大丈夫です。

1.将来的にヤバイ大学かどうか見たい。
→「貸借対照表」における「特定資産」が
極端に低いまたは0、「現金預金」が極端に低い。
これは、実際に財務書類を見るのが良いだろう。大学部門の募集停止を発表した上野学園大学の財務書類を見てみよう。財務書類は大抵「大学紹介」の「情報公開」に掲載されている。

21027-1
特定資産1億2000万円、現金預金2億2000万円となっている(「その他固定資産」に有価証券があるかもしれないが、微々たるものだろう)。これがこの学園の運用できる、流動的な資金だ。ここでヤバイセンサー機能してほしい。
「この金額が大きいのか小さいのかピンとこない」という人もいるだろう。もしかしたら事業規模が極端に小さくて、支出も少ないのかもしれない。この運用資産(貯蓄)であと何年もつのか。
「毎年どのくらい資金が増加・流出しているか」を見る「活動区分資金収支計算書」がある。

21027-2
この計算書の一番下から3番目に「支払資金の増減額」とあるが、これが実際のその年度における資金の増減額だ。
「お、上野学園4800万円もプラスでスゴイやん!」と思うでしょう。違うんです。上の方を見てください。
21027-3
「教育活動による資金収支」は本業と思ってください。本業は1億8000万円の赤字。
「施設設備等活動による資金収支」はその名のとおり施設設備維持にかかる資金収支で3100万円の赤字。
「あれ、赤字続きなのになんで最終的に黒字なの?」と思ったら、下の方を見ましょう。
21027-4
「その他の活動による資金収支」は、その他投資等活動による資金収支だが、上野学園は4億3000万円もの借入をを行っており、結果的にその他活動資金収支差額が2億6000万円のプラスになったので、最終的には4800万円のプラスになったというわけだ。
つまり、本業だけだと2億円近くの赤字で、現在の運用資産(貯蓄)約3億400万円が2年ともたない状況である。
こんな状態だからこそ、借入を行ってなんとかやっていけているのだ。

ヤバイ大学かどうか見るには、まず「特定資産」をきちんと積立てているか見るべきだ。その次に現預金を見て、有価証券もあるか見る。「現預金が豊富にあるな」と思っても、実際は借入によるものだったりする。

21027-5
ちなみに刑事事件とか民事再生法適用とか色々あった明浄学院(大阪観光大学)は特定資産0、現金預金6000万円の状態で、長期借入金が2億2000万円という絶望的な状態だ。

今日はここまで。反応あったら、続編やります。

・まとめ
①まず特定資産を見て極端に少ないかどうかみる
②活動区分資金収支計算書を見て資金の流出がないか確認する、それをもって何年分もつか確認する。
③極端に借入金がないか確認する。