69.3%

この数字は、京都精華大学の学部収容定員充足率の3か年平均だ。こんな充足率の大学、絶対ヤバイですやんというのがこのブログ読んでる人の総意だが、ここは少し違う。
運用資産余裕比率は1.8年分と、まあ全国平均並み。過度な借入もない。驚くべきは、この充足率で経常収支差額比率が3か年平均で辛うじて黒字なところだ。一番大きな収入である学納金が欠損しているであろうこの大学、なぜ黒字にできるのか、追っていきたい。

1968年に開設された同大学。場所は京都府京都市だが、岩倉木野町という山の中にあるような、まあある意味芸大っぽい立地だ。学長に有名漫画家の竹宮恵子氏が就いたことがあるからわかるように、マンガに特化した大学だ。


詳しい財務比率は同大学HPに載っているため、それを見ていきたい。
210304-1
まず、経常収支差額比率は2019年度は若干赤字だったが、それ以前は黒字続きだ(僅かではあるが)。学納金が確保できていない同大学で、どうやって黒字達成しているのか。そうだ、人件費を抑えているからだ!ということで、人件費比率を見る。
210304-2
全国平均と変わらず。では、それ以外の教育活動支出を抑えているからか?
210304-3
教育研究経費比率は若干平均より下回り、管理経費は平均より高い。
ここで一つの仮説が成り立つ。教育研究費の支出額自体が低いので、管理経費の比率が上がっているのでは?つまり、教育研究経費(人件費は含まれていない)を抑えているから、同大学は支出を抑えられているのだ!ということになる。

210304-4

上の表は、京都精華大学と学生数が同規模程度の大学で、教育活動支出を学生数で割り「一人当たり教育活動支出」をはじき出したものだ。
東京工芸大学すげえなという結論になるが、京都精華大学も同規模大学と比べ低く抑えられていることがわかる。

あまりはっきりした要因は見つからなかったが、教育活動支出を抑えているのが一番大きな原因か。
ちなみに、同大学の収容定員は4549人で、およそ1124名も充足できていない。単純計算でこれを学納金に換算すると、約14億円もの毎年得られるはずの収入を逃していることになる。
それほど、学納金収入、ひいては収容定員を充足するというのは大事なことなのだ。
普通、収容定員充足できてなかったら支出だけは収容定員分支出することになるので、赤字になるんだけどね・・・。同大学の節約手法で、なんとか黒字化できているもよう。
また別の視点でみたら違うものが見えるかもですが、今日はここまで。