カテゴリ: 大学の財務

あります。

〇〇比率とか言われてもピンときませんよ、という人いるでしょう。比率でみるのはその大学の規模にあったものかどうかで見るためなので、絶対値で見ると全体像がボヤけてしまうのですが。でも、もっと手っ取り早く見る方法、あります。
最初に断っておきますが、財務は総合的な視点で見ていかないとわからない部分もあり、これをもって必ずしもヤバイというわけではありませんが、まあほぼイコールと思ってもらっても大丈夫です。

1.将来的にヤバイ大学かどうか見たい。
→「貸借対照表」における「特定資産」が
極端に低いまたは0、「現金預金」が極端に低い。
これは、実際に財務書類を見るのが良いだろう。大学部門の募集停止を発表した上野学園大学の財務書類を見てみよう。財務書類は大抵「大学紹介」の「情報公開」に掲載されている。

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特定資産1億2000万円、現金預金2億2000万円となっている(「その他固定資産」に有価証券があるかもしれないが、微々たるものだろう)。これがこの学園の運用できる、流動的な資金だ。ここでヤバイセンサー機能してほしい。
「この金額が大きいのか小さいのかピンとこない」という人もいるだろう。もしかしたら事業規模が極端に小さくて、支出も少ないのかもしれない。この運用資産(貯蓄)であと何年もつのか。
「毎年どのくらい資金が増加・流出しているか」を見る「活動区分資金収支計算書」がある。

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この計算書の一番下から3番目に「支払資金の増減額」とあるが、これが実際のその年度における資金の増減額だ。
「お、上野学園4800万円もプラスでスゴイやん!」と思うでしょう。違うんです。上の方を見てください。
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「教育活動による資金収支」は本業と思ってください。本業は1億8000万円の赤字。
「施設設備等活動による資金収支」はその名のとおり施設設備維持にかかる資金収支で3100万円の赤字。
「あれ、赤字続きなのになんで最終的に黒字なの?」と思ったら、下の方を見ましょう。
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「その他の活動による資金収支」は、その他投資等活動による資金収支だが、上野学園は4億3000万円もの借入をを行っており、結果的にその他活動資金収支差額が2億6000万円のプラスになったので、最終的には4800万円のプラスになったというわけだ。
つまり、本業だけだと2億円近くの赤字で、現在の運用資産(貯蓄)約3億400万円が2年ともたない状況である。
こんな状態だからこそ、借入を行ってなんとかやっていけているのだ。

ヤバイ大学かどうか見るには、まず「特定資産」をきちんと積立てているか見るべきだ。その次に現預金を見て、有価証券もあるか見る。「現預金が豊富にあるな」と思っても、実際は借入によるものだったりする。

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ちなみに刑事事件とか民事再生法適用とか色々あった明浄学院(大阪観光大学)は特定資産0、現金預金6000万円の状態で、長期借入金が2億2000万円という絶望的な状態だ。

今日はここまで。反応あったら、続編やります。

・まとめ
①まず特定資産を見て極端に少ないかどうかみる
②活動区分資金収支計算書を見て資金の流出がないか確認する、それをもって何年分もつか確認する。
③極端に借入金がないか確認する。

美大・芸大の学園祭は面白い。なぜなら、皆が主体的かつ創造的に活動しているので、熱意がこちらにも伝わるからだ。この日のために培ってきたものを一斉に披露する。そんな場所、楽しくないわけがない。
芸術美術系の単科大学として奮闘している全国19大学。これら大学が、ずっとその地域で素敵な活動が続けられるよう、財務面で健全であってほしい。そんな思いから、すべての大学を洗い出しランク付けした。まあ、音楽大学ランキングの時と同様のことをやったということだ。
今回も見ていく指標は①「運用資産余裕比率」②「経常収支差額比率(3か年)」③「固定負債構成比率」④「学部収容定員充足率(3か年)」の4つだ。
この4指標の点数を集計し、ABCDEでランク付けを行った。
各指標の数値は客観的なものであるが、ランク付けは主観が入っているのはご了承いただきたい。各評価の説明は以下のとおり。

A:極めて良好な状態
B:良好な状態
C:平均並み
D:不良な状態
E:極めて不良な状態

良好や不良といった評価は、芸術系学部という視点から、私学事業団が発行している財務データ「今日の私学財政」の全国平(2018年度決算)を参考につけていった。
それでは各指標のランキング発表といこう。



運用資産余裕比率

運用資産余裕比率は運用資産(現預金・特定資産等)から外部負債(借入金等)を差し引いた金額が、経常支出の何倍かを示す指標。要するに、経常的な支出(教育活動支出と活動外支出)に見合った貯蓄を行い過度な借金をしていないかを見る指標だ。経常支出に対して「何年分の純運用資産があるのか」といった見方だ。
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1位は東京都八王子にある東京造形大学。事業規模が小さい割に特定資産等の積み立てをしっかり行っており、無借金経営なのも大きい。
2位は名門・多摩美術大学。無借金のうえ特定資産等の積み立てもしっかりで、死角なし。人件費比率(人件費/経常収入)は45%と低く抑えられており、固定費抑制にも余念がない(芸術系全国平均54.7%)。
下から二番目の倉敷芸術科学大学は法人全体の数値ではあるが、年々借入金が増加し財務をひっ迫。ここは例の加計学園グループの大学であり、これからも新学部新設でさらなる借り入れが予想される。設置大学の定員未充足も重なり特定資産は年々減少している。
最下位は滋賀にある成安造形大学。シンプルに運用資産が少なく借入もガッツリしてしまっているため負債が資産を超過でマイナスの数値に。滋賀で芸術は困難か。ただ、同大学は後述する収容定員充足・経常収支共に悪くないため、今後の立て直しが重要となる。
その他文星芸術・横浜美術共に特定資産が不足している割に借入もそれなりにあるため数値は低調している。


経常収支差額比率(3か年)

経常収支差額比率は経常的な収支(資産売却など臨時的な要素を除いたもの)に着目した指標だ。プラスが大きいほど収支の安定を示し、マイナスが出ている場合、学校経営の根幹である経常的な収支で資金流出が起きている可能性がある。
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1位は京都にある京都美術工芸大学。2012年開設の新設大学で、2017年開設の東山キャンパスは京都駅近くの立地の良さ。芸学部という1学部のみで事業規模は小さいながら毎年しっかりと経常収支黒字を出している。2018年には収容定員増加を行い、学納金収入は着実に増え続けている。実はこの大学、設置元は専門学校を運営する法人であり「京都建築大学校」という専門学校を今も開設している。個人的な話になるが京都の建築美に憧れ、大学生の頃にダブルスクールしようか迷ったほど、素敵な学舎と環境であった。それほど人を惹きつける大学なのだ(結局入学しなかったが)。
2位はまたもや京都の大学、京都芸術大学だ。聞き覚えある方もいるかと思うが、あのお騒がせ大学、元「京都造形大学」である。京都の名門美術大学・京都市立芸術大学を差し置いて「芸術大学」と改名したものだから、世間から非難を受けた。そんな大学でも経常収支はここ数年20%台で推移する好調さだ。
最下位は大阪芸術大学。経常収支はここ5年ずーっと赤字だ。収容定員充足率は安定しており学納金も高水準で安定しているが、それに勝る支出の大きさ。まだ貯蓄はあるため安心はできるが、早いところ支出を適正規模に戻す必要がある。運用益も毎年がっつり結果を出し、教育活動外収入で1,500~2,000百万円ほどの「受取利息・配当益収入」を出しているが、2019年度は当該収入が半分になり経常収支がさらに悪化。肥大化した各種支出のスリム化が課題だ。
下から二番目の宝塚大学は、宝塚と称しながら本部を宝塚に置くだけで、看護学部を大阪の中心街梅田に、芸術学部を東京新宿に置くしたたかさを持つ。大阪芸大と同じくここ5年間、経常収支は赤字のままだ。ただ宝塚大学は収容定員充足率も低く、毎年学納金は下がっていく一方。しかも学生数457名のうち、156名が留学生というヤバイ大学にありがちな学生構成。まずは定員を充足して教育活動収支を黒字化することが望まれる。
ちなみに同指標で「マイナスが出ている場合、学校経営の根幹である経常的な収支で資金流出が起きている可能性がある。」といったが、例えば最下位の大阪芸術大学は本業の教育活動資金収支で▲2300百万円ものキャッシュ減を出してしまっている一方、1位の京都美術工芸大学は同収支で1900百万円ものキャッシュ増を達成してしまっている。大阪芸大の方がお金持ちであることは確かだが、ブクブク太って生活レベルを落とせない富裕層みたいなもんだろうか、イメージ的には。


固定負債構成比率

固定負債構成比率は固定負債の「総負債及び純資産の合計額」に占める構成割合で、主に長期的な債務の状況を評価するものだ。想定される固定負債として長期借入金と退職給与引当金が想定される。ここでは特に長期借入金に着目する。
借入の多さは直ちにネガティブな影響を及ぼさないが、こと芸術・美術大学に関しては今後の市場・事業規模縮小が予想されるため、過度な設備投資などの借り入れは今やるべきことではないと考えている。
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1位はまたもや京都美術工芸大学。 同指標は無借金経営の大学が多いため総じて平均より良い数値を出す大学が多いが、問題は成安造形大学と倉敷芸術科学大学。特定資産等の貯蓄に比べ借金が多いため、運用資産余裕比率でもワースト1・2フィニッシュを決めている。施設設備等の投資のための借り入れであれば必ずしも借入が悪いというわけではないが、倉敷芸術科学大学については定員割れも起こしているため問題あり。他の設置大学も充足できておらず、財政悪化の火種があちらこちらにばら撒かれている状態。

学部収容定員充足率(3か年)

最近どの大学も苦労している学部収容定員充足率。少子化の今、事業規模のレベルは適切にするべきだ。収容定員は事務的な手続きで下げることができても、人件費や施設設備は簡単にカットできない。カットするには大変な労力と時間がかかるのだ。それらを踏まえ、定員充足ができていない場合は、財務が安定している間にゆるやかに適正水準にしておく必要がある。財務がひっ迫している状態で急いで行っても、時すでに遅しなのだ。
同指標では100%以上は全てAとした。
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1位は東京造形大学。東京五美大(多摩美術大学、武蔵野美術大学、東京造形大学、女子美術大学、日本大学藝術学部)と呼ばれているらしく、なるほどこの5大学は全て定員をしっかり充足させている。
2位は意外、成安造形大学。大津市から少し離れた、琵琶湖の湖南(?)という立地でありながら、800名ほどの収容定員をしっかり充足させているのは、地元に定着している証か。


なんなら3か年ではない最新の充足率は1.15倍を超えてしまっているため、少しやりすぎ感も。
最下位は京都精華大学。芸術学部・デザイン学部・マンガ学部・ポピューラーカルチャー学部・人文学部で構成されているが、肝心の芸術学部の充足率が55.8%。人文学部に至っては41.4%と大きく足を引っ張っている。おまけに所属教員がネット上でユーミンを誹謗中傷しそれが人気低下のとどめとなったか。



ただこの大学がすごいのは、これだけの充足率であっても経常収支をぎりぎり黒字で保てているところだ。各種支出の抑制で教育活動収支も安定。運用資産(貯蓄)もそこそこあるので、直ちにどうなる、という財務状態でもない。今後は看板のマンガ学部を中心とした立て直しが必要だ。
下から二番目は文星芸術大学。1999年設立で比較的後発の大学で、栃木県宇都宮市に所在。ここは充足率のみならず、運用資産余裕比率や経常収支も低迷しているため、このままではヤバイことになるのは目に見えている。宇都宮市民総出で応援する必要がある。冗談ではなく、意外とこういう地方の大学で財政危機のところは、すんなりと公立化したりする。大学はそれほど、地方にとってのステイタスなのだ。


まとめ(総合ランキング)

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1位はやっぱり、というべきか多摩美術大学。多摩美術大学が名門なことくらい、業界知識のない僕でもよくわかる。日芸の皆さんは、「多摩美があってなんで日芸がないんだよ!」とお怒りかもしれないが、ホームページ上に公開される財務諸表は法人全体のものであって日大芸術学部のものはもやは大きな日大の全体財務になってしまうのだ。さて、多摩美術大学は経常収支差額比率を除きすべて5点という強者。はっきり言って財務面では文句のつけようがないので、あとは美術大学としての格をさらにあげることか。
2位は我らが京都美術工芸大学。事業規模は他の大学に劣るが、各指標で総じて安定した良好さを示している。定員充足状況は97%という状態であるので、今後は100%超えで安定させ、収容定員増等さらなる事業規模拡大が期待される。それほど、貯蓄も経常収支も安定している状態にあるのだ。
3位の東京工芸大学は工学部もあるので一概に芸術単科大学といえないが、豊富な貯蓄と安定的な充足・経常収支で3位につけた。
6位の東北芸術工科大学は、山形という立地にありながら、2000人規模の収容定員を充足(約半分はデザイン工学部だが)させ経常収支も安定。地方でも芸術大学は成立する、を証明。
西の名門芸術大学、大阪芸術大学は豊富な運用資産ながら、途方もないくらいの経常収支の悪化と借入金の多さで9位に甘んじた。今後は緩やかに回復させていく必要がある。
名古屋芸術大学は名称からも名古屋を代表するかのような雰囲気を出しているが残念ながら総合評価はE。充足率が80%と安定せず、それに伴い経常収支も悪化。貯蓄もそれほど十分にあるわけではないので、早急な立て直しが必要だ。同じく名古屋の名古屋造形大学はほかの設置校(名古屋音大、桐朋大学)があるから規模の力で巻き返し。名古屋に芸大は2つも不要か。
最下位で平均点1点の倉敷芸術科学大学は他の設置校(岡山理科大、千葉商科、他専門学校等)があるので純粋な芸術大学の財務とはいえないが、倉敷芸術科学大学自体が充足率75.2%と低迷しているため、大学単体の収支も良くないと予想。他の設置校での改組・新設計画もあり今後も借入は増える見込み。厳しい財務状況は続く。
純粋な芸術大学での最下位は名古屋芸大・京都精華・文星芸術と既に述べた大学であるが、意外なのは横浜美術大学。もとは1966年設立の女子短期大学からはじまり、2010年に4年制に移行した。大学名称はかなりイケてるが、充足率は89.9%と低迷。貯蓄も少ないため、全体的な指標は低調。唯一救いがあるのは、経常収支で僅かながら黒字を出しているため、今後は定員を充足させ経常収支の黒字幅拡大と運用資産(貯蓄)の増加が期待される。


音楽単科大学のものと比べて感じたが、芸術・美術大学は定員割れを起こしても経常収支が黒字、というところが目立った。このあたりの検証はまた後日行うが、総じて財務危機大学がそれほど多くないな、という印象。個人的に危険だと思うのは倉敷芸術科学大学、名古屋芸術大学、宝塚大学、文星芸術大学くらいだろうか。なにより、経常収支が赤字の状態で貯蓄がないというのはかなり危険な状態なのだ。
立て直し策はシンプル。定員割れを起こしているなら充足させる方策を練るか、それが無理なら早めに損切して収容定員減を行い、各種支出減をいち早く行うことだ。それにより経常収支黒字を図り、なるべく運用資産(貯蓄)を増やす。
しかし組織というのはそう簡単に動かない。まだまだ学生は入ると思い収容定員はそのまま、首切りは困難で人件費は削れないので定員減も簡単ではない。施設の維持だってある、どこの大学の幹部も、良い時代を知っているからこそ、そう簡単には動けないのだ。
今後は学納金に依存しない、例えば運用益を拡大することも考える必要がある。本業が儲からないと割り切ることは、早めに気づくべきである。

今回の集計、19大学もあったものだからめーーーーちゃくちゃ疲れた・・・。
数が多かったのですべての大学に触れられなかったが・・・京都に私立美術・芸大大学多すぎない?(京都美術工芸・京都美術・嵯峨美術・京都精華)
これだけ書いても1銭にもならないが、個人的には得るものがあったような気もするので、やってよかった。今度はどこのカテゴリでランク付けしようかな。
音大版もよかったら見てくださいね。

人気Youtuber・加藤純一氏は、自身の病院での勤務体験により「ブラック企業は小さな北朝鮮」と表現した。トップの一存ですべてが決まり、一般社員は重い労働を課せられるからだ。大学も、ある意味それに近いところが散見される。

12月22日、とんでもないニュースが流れた。

東京福祉大、創設者が復帰 わいせつ実刑、文科省の指導にもかかわらず…



記事によると、教職員への強制わいせつ罪で実刑判決を受けたことがある創設者が、その後学園の総長に返り咲いたそうだ。にわかには信じがたい話であるが、こんなことも大学ならあり得るのだ。その辺の非上場の中小・零細企業の話ではない。経常費補助金、つまり税金が投入されている高等教育での話だ。

この学園、不祥事のオンパレードだ。
平成24年度に経営学部を新設しようとしたが、「不可」の判定をくらう。不可の理由として、数々の管理運営面での問題が指摘されているからだ。

文科省の指摘はリンク先のとおり、多岐にわたる。
https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2011/12/16/1314013_3_1.pdf

以下、それらの抜粋だ。
平成20年1月に当時の理事長が複数の刑事事件を引き起こした後…(中略)…元理事長について「理事長・理事及び学長・教授等として復帰することを認めない」と報告。しかしながら、平成 22 年 7 月から、本法人は元理事長を事務総長として雇用し、法人運営に関与させていた。
本法人は、平成 22 年 9 月末で元理事長の雇用を解消した後の同年 10 月に は、改めて、理事長名で文部科学大臣に対し、元理事長について「現在、経営や 教育に関与しておらず、今後も一切関与させない」と報告。
しかしながら、本法人は、同年 10 月から、…(中略)…元理事長が社員として在籍する会社(社員数 3 人)にコンサルタント業務を委託し、社員である元理事長から、学生募集等に関するコンサルティングを受けていた。
平成 22 年 10 月から、本法人は、学生募集等に関する業務をコンサルタント会社に委託したが、委託後、約半年間、コンサルタント会社と契約書を締結しておらず、平成 23 年 3 月に平成 22 年 10 月に遡って作成していた。平成 23 年 3 月に契約書を締結するまでの間、コンサルタント会社名義の口座 があるにも関わらず、本法人は、コンサルタント会社からの請求通りに、元理事長の個人口座に総額約 1,941 万円を支払っていた。

メチャクチャじゃねーか!!

その他クレカの不正利用(その後指摘により返還)など、おおよそ教育人がやることではないことをやってのけた。このようなフザけた運営を、許して良いのだろうか?

また、東京福祉大学といえば留学生約1600人所在不明事件が有名であろう。
逆によく、1600人も所在不明であることを突き止めたな。



平成30年度の時点で、5,133人もの留学生が在籍していたようだ。



収容定員を充足できない大学は、東京にサテライトを置いて留学生をめちゃくちゃ呼び込んで充足させる、という手を使うが、これはいかがなものか・・・。

さて、一応財務系ブログなので、同学園の財務状況を見てみよう。
同大学の設置者は茶屋四朗次郎記念学園。大学転職を考えた方は、何度も見た名称であろう。
運用資産と外部負債の経年変化は以下のとおり。

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ご覧のとおり、運用資産は右肩下がりの一方、外部負債は増加。事業報告書を見ると平成30年度に池袋キャンパス 10 号館開設、王子キャンパス 6 号館開設と立て続けにキャンパスを開設している。留学性の受け皿をさらに増やすための施策か。また、名古屋キャンパス 10 号館も開設しており、「東京」福祉大学「名古屋」キャンパスといういびつな構造に。
また、2018年→2019年にかけて現預金が1,700百万円ほど減っているが、シンプルに教育活動「資金」収支で1,000百万円ほどのキャッシュ減となっている。

では、教育活動収支(本業)と経常収支(本業外含む)を見てみよう。
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安定した収支をみせていたが、2019年は赤字に転落。理由は色々あるが、各種支出の増加と学納金の減少、問題を起こしたことにより補助金が減額されたことが大きい。コロナの関係で今後も留学生確保は困難なため、2020年度決算も悪化が懸念される。

概していうと、預貯金の二倍の債務があり、経常収支も悪化している状態。
今後も安定して借入ができれば良いのだが、やはり留学生に頼り切りの構造は良くない。また、手広くキャンパスを広げており、これらが重荷になる可能性は高い。

この大学に限らず、ワンマンで無茶をしている大学は多い。文科省さん、一回精査しませんか・・・?




2012年11月、大学業界に激震が走った。日本学術会議の人選問題よりも、もっと根本的な問題だ。
秋田公立美術大学、札幌保健医療大学、岡崎女子大学の3つの大学新設について、大学設置・学校法人審議会の認可を覆すことを田中氏(当時文科大臣)が示唆し大騒ぎになった。




3大学でも大きいが、そのほかに同時期に既設大学の16学部、13の大学院を認可していたので、こりゃヤバイことになるぞと騒然となった。
大学を設置する際、よほど事務が無能でなければ、潤沢な資金と計画でヘマしない限り認可される。もちろん学生確保の見通しや書類上の高度なハードル、教員確保やキャンパス確保は大変なものだが、金にモノ言わせて紀伊国屋やら業者に委託すりゃある程度形になるのだ(担当者は大変な目にあうが)。
それなりの準備をし、あとは審査がザルの学校法人審議会の了承をもらえれば認可、あとは文科大臣の認可ももらって学生募集スタート!となる。
ザルの審議会といったが、これは審議会の構成員個人に対する批判ではなくその組織そのものだ(その一個人・担当者が不可をしたくとも、前例の基準を踏襲しないといけないのだ)。

田中氏は不認可の理由として「大学が多すぎ、質が低下している」と話したが、これは全国民がなんとなく感じていることだろう。なぜ少子化なのに、大学が増えるのだろうか。

不認可になりかけた上記3大学、その後どうなったかを財務面等で追ってみた。
秋田公立美術大学は公立で会計基準も違い、最終的には県が助けてくれるため財務面はカット。

それではまず、札幌保健医療大学からだ。
7つの専門学校と3つの福祉会をもつ、吉田学園が母体だ。よって、財務書類も学園全体の者となってしまうため純粋な大学の財務は見られないがそこは仕方ない。
まず、当然のように定員未充足だ。学部収容定員充足率は78.8%。偏差値はBF~40。入試倍率は1.5倍だ。
教育活動収支(本業の収支)と経常収支(教育外も含めたもの)の経年変化は下記のとおり。
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2017年に赤字転落したが、その後は持ち直している。大学の学納金はそれほど増えていないため、これはおそらくその他専門学校での収支改善があったと予想。まあ、全体としてそれほど悪くない。
では特定資産(貯蓄)や借入金等はどうか。
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事業規模にしてはそこそこの貯蓄、といったところか。それほど多くもないという感じ。
大学はずっと未充足なので、他の設置校の収支で助けられていると予想。2015年はデータがなかったので不明。


次に岡崎女子大学。愛知県岡崎市に本部を置く、短期大学も持つ学校法人だ。「短期大学のノウハウもあるなら4年制も大丈夫だ!」と思ったがそこは違った。
充足率は当然のごとく未充足で89.5%。偏差値はBFで入試倍率は1.2倍。
教育活動収支(本業の収支)と経常収支(教育外も含めたもの)の経年変化は下記のとおり。
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はい捕まえたあああああああああ!

いや、収支は改善してますよ?でもこれ、あまりにも赤字続き過ぎて・・・。中身を見ると学納金の額が増えているので、充足率を改善してきたのであろう。
これだけ赤字を出して特定資産(貯蓄)や借入金は大丈夫なのか、見ていく。
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借入金は一貫して0.特定資産も微減といったところだろうか。赤字続きの割には貯蓄の取り崩しもなく、それほど悪くはない。

この2校ともいえることは、財務はそれほどひっ迫しておらず悪い状態ではないことだ。だが偏差値や充足率を見る限り、この先はかなりの困難が予想される。

ちなみに秋田公立美術大学は充足率102.1%、偏差値52、入試倍率も2.1倍と良好な状態だ。さすが公立大、強いな。

恐ろしいことに、大学は今現在もドンドン誕生している。
2020年には湘南鎌倉医療大学、名古屋柳城女子大学、高知学園大学、静岡県立農林環境専門職大学、東京国際工科専門職大学、びわこリハビリテーション専門職大学、東京保健医療専門職大学、情報経営イノベーション専門職大学、開志専門職大学、岡山医療専門職大学、静岡県立農林環境専門職大学短期大学部が新設された。ウソみたいな話だが本当なのだ。 
2021年も多くの新設大学が誕生する。そう、少子化なのに、だ。

皆さんはこれをみて、改めて大学不認可問題についてどう思いますか?
コメントでご意見いただければ、と思います。

加計学園といえば獣医学部問題で有名であるが、この学園、3大学3専門学校、中学高校と幼稚園を持つどデカイ組織なのだ。設置大学は岡山理科大学(岡山)、倉敷芸術科学大学(同)、千葉科学大学(千葉)と、かなり多様性がある。
積極経営でも有名であり、改組・学部新設を頻繁に行っている。一つ一つあげていったらキリがないが、岡山理科大学においては2016年に教育学部、2017年に経営学部、2018年にはあの獣医学部設置とかなりの教育投資を行っている。
それに伴い収支も悪化してしまっているから笑えない。2015年から2019年の教育活動収支と経常収支(教育収支+教育外収支)を見ていこう。

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※加計学園「財務情報等」より作成
 https://www.kake.ac.jp/information/finance.html


2016年までは辛うじて黒字をキープしていたが、2017年以降は赤字が大幅拡大。中身を見ると学納金等の収入は増えていない(むしろ減っている)のにもかかわらず、人件費や各種支出が増えてしまっている。学部新設等を行っているため一時的なものは仕方ないが、これは極端である。また、充足率を見てみると、岡山理科大学が93.9%、倉敷芸術科学大学が74.3%、千葉科学大学が70%とすべての大学において定員未充足状態が続いている。これでは経常収支は安定しない。
経常収支が安定しないとキャッシュも減り、貯蓄の取り崩しも借金もする。同学園の運用資産(貯蓄)と借入金残高を見ていく。
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運用資産は現預金・特定資産の他に有価証券を持っている可能性があるが、内訳がわからないためこの2つのみで集計。大勢に影響はないと思う。
これを見ると運用資産がどんどん減っている一方で、借入金は増えていっている。
運用資産余裕比率は2015年の53%から2019年に3%と激減。
経常収支が安定しない限り、この負のスパイラルからは抜け出せずより悪化していく。
この学園の良いところは、各種財務比率を惜しみなく公開し、私学事業団の指標でイエローゾーンであることを事業報告書きちんと書いていることだ。
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※加計学園「事業計画・事業報告」より抜粋
 「https://www.kake.ac.jp/information/project.html」

Wikipediaによると2020年には岡山理科大学で情報理工学部と生命科学部を新設予定らしい。本当に大丈夫か・・・?

そんな学園だが、近々公開予定の「日本の芸術大学 財務健全性ランキング」に、設置大学である倉敷芸術科学大学も登場する。果たして何位なのか?!ブログ公開をお楽しみに!



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